第12話 仲間

 勝也達6人は、街灯がポツポツしかない道を歩いていた。

 「酒田の爺さんに話すしかないんじゃない?〝死体〟埋めたかって?」と伊藤が切り出す。

隊長 美代は、「多分、何か事情があるはずよね、とにかく、皆んなお腹すかない?それとお風呂も入りたいわね?皆んなお父さん、お母さんには、何て言って千倉に来たの?」と聞いた。

「プールに行くって言ってきた」とクタクタの勝也が言うと美代は、「え〜、不味いよ!心配してるよ!騒ぎになってるんじゃない?警察に連絡してるかもよ!」と慌てた。

「警察!まずい!まずい!」酒田が慌てだした。

美代は、「そうだな‥まず、千倉の海に来て、財布を無くした事にしたら?とにかく無事な事を連絡しないとね、公衆電話探しましょう!」と電話を探し始めた。


 磯野宅


 それぞれの親が集まってきた。

酒田の母、美佐子は、「皆さん!家のお爺さんが何か知ってる見たいなのよ!お爺さん!皆さん心配してるわよ!白状しなさい!」と酒田辰之助は、7人の親達に見つめられた。

「うるさい!ワシは、ただ、彼らに冒険をさせただけじゃ!心配いらん!もう帰ってくるわ!」と背中を向けた。

美佐子は、「何処に行ったか?知ってるなら、仰ってください!お爺さん!」と詰めるが、「うるさい!」の一点張りであった。

そんな時、磯野宅の電話が入る。

 黒電話は、〝ジリリン!〟と音を立てる。

勝也の母、澄江は、「勝也かも?」と慌てて電話にでる。

「勝也!何処にいるの?皆んな無事?‥うん‥うん‥千倉!‥うん‥財布無くした⁈‥うん、ちょっと待って‥」と皆の方へ向いて、千倉の海へみんなで行って財布を無くした事を説明した。

すると、酒田辰之助が「千倉にワシの昔からの友が〝民宿〟を経営しておる、彼に迎えに行ってもらう!場所を聞いてくれんか?」と進言した。

澄江は、「場所は何処?小松寺のそば?わかったわ!酒田さんのお爺さんのご友人が千倉にいるらしいの‥うん‥民宿やって、らっしゃるみたいだから、そこに居なさい!わかった?民宿についたら、

電話するのよ!‥‥」と言って皆んなの方を見て、

「切れた、多分、10円玉がなくなったと思いますけど‥」と言った。

酒田の爺さんは、「電話を貸してくだされ」と言って、手帳をペラペラとめくり、電話をかけた。


 6人は、小松寺のそばの公衆電話で待っていた。

30分は待ったであろうか?一台のワゴン車が来る。

ワゴン車は、6人を見つけると停まった。

「辰之助さんのお孫さんたちかい?」と40代の女性が、声をかける。

酒田は、「そうです!」と答える。

「あ〜、もうそんな泥だらけになって、さあ、後ろに乗りな!」と気風きっぷのいい声をかける。

6人は、「お願いします!」と声をかけ乗り込む。

助手席から、一人の白髪の老人が、声をかける。

「ワシは、与島太助よじまたすけじゃ!帰って風呂に入るといい‥飯も食べなさい、魚を捌こうさばこう」と声をかける。

振り向いた鋭い眼光に皆、緊張した。

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