第26話

 夏が過ぎ去り、少しずつではあるが、涼しくなってきた。

 これが、季節を感じるということなんだろな。

「ぽち、服装ミスった」

 青らしく、シンプルで大変けっこう。

 というか、散歩へ出る前に母親から「寒いから気を付けて」みたいなこと言われてたろ。

「寒い……。気温的にはそこまで低くないはずなのに、なんでこんなに寒く感じるんやろ」

 なんでか教えてやろうか? 青が半袖シャツだからだ。

「今の時期だと、コンビニでも温かいもの売ってないよな……。いや、でもホットスナックは年中売ってるか。ぽち、ちょっと寄り道するで!」

 それは別にいいけど、できればおこぼれをくれ。

 数分間歩いて、コンビニに着いた。青は、弾む様な足取りで店内へと消えていった。

 そして、アイスを持って出てきた。

 ……え、こいつ、何してんの?

「アホを見るような目で見とるな、ぽち」

 実際、アホの言動だからな? 寒いって言って、アイス買ってくるのは。

「考えて見てや、ぽち。今の時点でこんだけ寒いわけや。と、いうことはこれか先には外でアイスを食べられる機会は、確実に減ってくるわけや」

 そうかもな。

「つまりや。現時点で、美味しく外でアイスを食べるのは、今まさにこの時間なんや」

 でも、青は現時点で寒いんだよな? 寒いとアイスは美味しいと感じないんじゃないか?

 青はアイスを食べながら、俺を連れてコンビニを後にする。

「しかし、寒いな……。時間が経って、さっきより寒く感じるわ」

 お前、自分で何食べてるのか分かっているのか。

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