第22話

「紹介するで、桃子ももこちゃん。こいつが、我が家の愛犬ぽちや」

「ほほ~う。君がぽちか。可愛いなー、おい」

 言いながら俺をもしゃもしゃと撫でくり回すのが、青の大学の友人である桃子らしい。

 鎖骨辺りまである髪は、まとめられている。確か、ポニーテールとか言う髪型だ。背は、青より小さいな。体型は、太っても痩せいるとも言えない。中肉中背か?

 家に入って来た時からテンションが高いあたり、動物好きなのかもしれない。

 そして、首からカメラをかけている。携帯電話ではない本格的なやつだ。まぁ、俺には何が本格的なカメラなのか、よく分からないんだが。

 桃子は、俺を一通り撫で終えると、カメラで俺を撮影し始めた。

 どうせ撮るなら、カッコよくしてくれよ。

「いいね、ぽち。イケメンだねー。いい写真がいっぱい撮れるよ!」

「はは、よかったなぽち。でも、桃子ちゃん、ぽちはちょっとアホやで」

 青だけには、言われたくないんだが。

「そう? けっこう賢そうに見えるけど……」

 よく分かっているな、桃子。確実に青よりは賢い人間だな。

 それから、桃子は5分ほど俺の写真を撮った。俺も寝転んだり、ボールをくわえたりと撮影に協力した。

「ふーい、満足したー!」

「桃子ちゃんは、本当に動物好きなや」

「可愛いからね! ところで、青はサークルとか興味ない?」

「サークルか。あんまり考えたことないな」

「けっこう楽しいもんだよ? 英文科なら留学生と交流するサークルとかもあるし」

 ……青、英文科だったのか。

「うーん、外国の人としゃべるの怖いし……」

 は?

「え? じゃあなんで英文科に入ったの?」

「英語が中高の時に一番テストで点取れたからやけど」

「……英語って、外国人としゃべるためのもんじゃないの?」

「そうやけど、やっぱり外国人は怖いんよ。なんとか外国人と、英語以外でコミュニケーションとりたいんやけどな」

 「ぽち、どういうこと……?」

 俺に聞くな。

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