第110話 もつっ娘のルイ
「そう! ノジャノジャ神だ! そこまで知っているという事は、やはりルイは俺の嫁なんだな! 第二夫人として娶ってやるからな、安心してくれ! 神託だ! 神託は本当だった!」
のじゃロリぃ!!!
やってくれたな!!
ゴライアだけでも大変なのに、よりによって印象最悪の勇者アイスをけしかけてくるなんて!
しかも、「第二夫人として
ローザも何か言えよ!
俺にプロポーズしてきた時からずっと仏頂面してるくせに、「一番はローザ」って言われている時だけ、めっちゃフニャけた顔しやがって!
ゴライアなんて、スンッとした顔で俺にすがるような視線を送ってきてやがるし。心配しなくても二人共お断りだ! もし、仮にどちらかを選べと言われたらゴライアにしといてやるよ。
って、違ーう!!
俺には
「勇者アイス」
「おう! 承諾してくれるか。神託だからな。当然だろう」
「お前の申し出はちっとも嬉しくない。はっきり言って迷惑だ。お前と結婚するのは何番目だろうとお断りだ! 二度とその話をしないでくれ」
「ば、馬鹿な!? 神託だぞ!? ルイ、お前は俺と結婚する為に、わざわざ異世界から来たんだろう?」
「ぜんっぜん違う! 良いか? 俺はそんな事、のじゃロリ女神から言われていない。あいつが言ったのはのじゃロリ女神を楽しませろってだけだ。奴はこの状況をどこかから見て楽しんで笑っているんだよ。お前は騙されているんだ」
「馬鹿な!? お前が言われていなくても俺は神託を授かった! ルイ! お前は俺と結婚するべきなんだ!」
わからないやつだな。俺にはお前と結婚する気など、これっぽっちも無いというのに。
「神託神託ってうるさいやつだな。じゃあお前はローザを捨てて、ゴライアと結婚しろと神託で言われたら、そのとおりにするのか?」
「ローザを捨てて、ゴライアと結婚? するはずないだろ? 何を言っているんだ?」
「そういう事だよ。大事なのは自分の気持ちだ。例え神様から言われたとしても、そのとおりにする必要なんてないんだよ。第一、のじゃロリは、自称神様なだけで、本当はなにかわかったもんじゃないぞ」
「……そうなのか?……いや、でも神託は……」
まだブツブツ言ってやがる。
「どっちにしろ、俺は男と結婚する気は一生ないから、俺を結婚相手の選択肢に入れるな。ゴライアもだぞ」
再度俺に言われたゴライアはしょんぼりとしてしまったが、いい加減に諦めてくれ。
勇者アイスはまだ俺の話をのみこめていないのかポカンとしている。
「ところで、なんでこんな所にいるんだ?」
「ビーギン村で、ルイが俺に色々と教えてくれた時に、手書きの世界地図もくれただろう? それを頼りに自由に転職先を選べるという、ここマーダ神殿にやって来たのだ。つまり、俺とローザの転職の為に来たら、ルイに出会ったというわけだ」
ゴライアが勇者パーティーがマーダ神殿にいる経緯を説明してくれた。そうだったのか。だが、『俺と出会った』を強調するのはやめてくれ。
「へ〜、ゴライアはシステム外スキルがたくさんあるから、どんな転職先が現れるんだろうな。第三職業が開かれるかもしれないし、一度見てみたいな」
「おお! それならば一緒に来て相談に乗ってくれないか?」
おっ!? それは俺のファンサ5マニア心をくすぐる、とても魅力的な提案だな! 勇者パーティーの転職イベント! 是非見届けたい。
ちらりと、ローザとステラ、それからエリーとミーニャの顔色をうかがったが、特に嫌そうにはしていない。
「それじゃあ、一緒に行こうか」
ようやく俺達の順番がやってきた。立派な祭服を
「マーダ神殿へようこそ。お、お主は······『もつっ娘』のルイ!? また来おったか!? 前も言うたが流石のマーダ神殿でも性転換は無理じゃぞ!? お主達、ちょっと儂の後をついて来なさい」
大神官が一瞬フリーズしてしまったが、すぐに再起動した。
なんだよ俺の顔を見るなり『もつっ娘』のルイって。
ひどい言われようだな。
大神官テンチョクは別の神官と転職係を交代して、俺達を別室へと案内してくれた。立派なソファに大神官と向かい合って座ると、早速大神官が話を切り出してきた。
「して、今回は何用かな? む!? さっきはルイに気を取られて気付かなんだが、前よりも女の子が増えておる! しかも……男までおるとは……ついにもつっ娘は二刀流、いや、両刀使いに目覚めたのか……」
やめーい!
そんな想像するんじゃない!
「二つのパーティーで合同で来ただけですよ! 変な想像はやめてくれますぅ? 俺のパーティーからは新加入のミーニャ。勇者パーティーからはゴライアとローザが転職を希望します」
俺が大神官に告げると、大神官は深く頷いた。
「そうであったか。お主達も最適なジョブにつけるようにマーダの大神官たる儂が導いてしんぜよう。先ずはこの水晶玉を握るのじゃ。そうするとこちらの光る石板に転職可能なジョブが映し出されれる」
「それじゃあ、あちしから行きますにゃ」
言われた通りにミーニャが水晶玉を握ると、俺の時と同じ様にひときわ強く光輝き、ほぼ全てのジョブが石板に映し出された。若干俺とは内容が異なっている。同じ光の戦士でもやはり個人差は有るみたいだな。
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