第105話 くしみたま神社
「なにごとクマ!?」
前方の
「俺達で先に行くぞ!」
俺、シーラ、ミーニャはザックに、エリー、イーリアスはチョコにそれぞれ飛び乗り、チョコザの本気走りで先行する。
丘の上にあるくしみたま神社に到着すると、神社の拝殿は崩れさり、煙が上がっている。更に結界で護られているはずの本殿も、一部が崩れていた。
「おいおい、結界って誰にも破られないんじゃなかったのかよ」
ゲームでの設定やクマンモ王族との会話を思い返しながら、思わずそう呟いてしまった。いわゆる破壊不能オブジェクトではなかったのか? と。
あからさまな異変に、シーラとエリー以外はチョコザから降りて、油断なく陣形を組み戦闘態勢をととのえる。
「ルイちゃん! 見て、中から何か出てくる!」
ドガラッ!
ドガラッ!
「ひひっ〜ん゙!」
瓦礫を蹴飛ばし、煙から飛び出してきたのは体高4メートル、全長5メートル程の勇壮なケンタウロスだった。
「むっ!? なに奴!? ん? 鎧の色は違うがお前はイーリアスだな? そしてお前はシーラか? ミスドジードが取り逃がした事を悔いていたが、みずから
「何者だ!?」
「何者だ、ときかれたら
そう言うやいなや、ケンタジードは一瞬にして俺の背後に回り込んで後ろ足で背面蹴りをしてきた。
ドゴン!
速い!
なんとか目で終えたので受けが間に合ったが、ケンタジードの動きはとんでもない速さだった。まさに『瞬影』だ。
「ほほう、今のを受け止めるとはやるではないか。褒めてつかわす」
「みんな! 気をつけろ! こいつとんでもなく速いぞ!」
槍を取り出したケンタジードがミーニャを串刺しにせん、と高速の連撃を繰り出す!
「うにゃにゃにゃにゃ! 危ないにゃ!」
持ち前の素早さと猫獣人ならではのしなやかさ、そして超人的な運の良さで、アクロバティックに槍をかわすミーニャ!
「ほうほう、面白い動きだな」
ケンタジードが一瞬にして間合いを取ると、槍にかわり弓矢を手に取り、俺達に向けて『みだれうち』してきた。
キキキキキンッ!
俺、イーリアス、ミーニャの前衛組で高速で飛翔してくる矢を叩き落とし、斬り落とす!
しかし、無限かと思うほど連続で放たれる矢に息つく暇もない程だ。
「あー、なんか無性に左腕が疼くにゃ」
凄まじい矢の嵐を斬り落としながら、ミーニャが厨二めいた事をつぶやいたその時!
俺とイーリアス、そしてミーニャの間で何かが繋がった!
「イーリアス! ミーニャ!」
「応!」
「きたにゃ!」
「「「アルティメットユナイトスキル、白い
イーリアスが大盾である平氏の盾を構えると、イーリアス、俺、ミーニャの順にケンタジードに向かってミーニャのスキル『ビーダッシュ』の効果に包まれながら全力ダッシュで駆け寄る!
スリップストリームを利用して三人の速度が最高速に達した瞬間にミーニャがイーリアスの肩に飛び乗り、俺がスキル『けり』の流星のエフェクトを纏い、イーリアスの背中をけって打ち出すことで、更に加速した!
そこから、更にイーリアスがシールドバッシュでミーニャを打ち出す!
「「
一瞬で間合いをつめきったミーニャが、ケンタジードと交錯した瞬間に、目にもとまらぬ早業でケンタジードの弓矢をスリ盗った!
「!!」
突然弓矢を失ったケンタジードがあまりの出来事にポカンとしている。
その隙に俺達は再び陣形を組む。
「ボス! お宝の匂いがプンプンするにゃ!」
そう言って差し出された弓矢を受け取る。
「おお! これはラスダン前で手に入れる事のできる伝説武器の一つ『与一の弓矢』じゃないか!? とんでもない物を『ぬすむ』したな! 凄いぞミーニャ!」
「き、きさまらぁ〜! よりによって余のお気に入りの武具を奪いおって!」
額に青筋を浮かべて激昂するケンタジード!
奪い返される前にお宝を俺のインベントリへと収納する。これでもう俺の物だ。お前の物は俺の物、俺の物も俺の物だ!
ちゃんと覚えとけよな!
「もう許せん! 徹底的に成敗してくれる! 余以外は誰ももっておらんユニークスキル『武器支配』の真の力を見よ!」
新たに取り出した、緩い曲面をもち中央に赤い宝石がはめ込まれた丸盾を構えると、ケンタジードが一人うんうんと頷いている。
あの盾は!? くしみたま神社にあったはずの『
まずい!
あの盾の力を使われてしまっては……
「くしみたまの盾よ、その力を解き放て! 『
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