第三十五章 聞かされるくらいなら

「ふん、よくやったとほめてやるがそんなゴミどもを集めて何になる?クラスAの者たちはともかくクラスCの連中の魔力などたかが知れている」


 正和まさかずがしゃべりながら少しずつこっちに歩み寄っていく。わしはすぐに伊勢盆のもとから正和のところまで襲雷しゅうらいを使って急接近する。


「!?」


 正和がかなり驚いた顔を見せたが、その時にはすでにわしの正拳突きが炸裂しており正和を吹っ飛ばした。正和が「ゲホッゲホッ」とせき込む。すると仮面の男が正和の方へ歩み寄る。


「ふむ、奴め。また力をつけてきおったな」

「クソが!アイツ!!」

「落ち着け。まずはゴミどもを始末するぞ。月広、ほかの奴らを集中攻撃しろ。次射の相手はそのあとでいい」

「・・・そうだな」


 二人はわしのことを無視し始めほかの者たちへの攻撃を開始した。奴らが氷魔法や風魔法を使ってくるが主にクラスBの者たちの結界で防ぐ。


「なら、これでどうだ!!」


 正和が遠距離攻撃のために遠くでスタンバイしていたクラスAとクラスCの連合軍へ魔法を放ってきた。

 普通なら彼らの魔力では防ぐことはできんが、新アイテム『ツリーブレスレット』を装着しておくことで魔力を3倍に倍増させたおかげできっちりと防ぐことができた。


「なっ!?」


 正和は驚いた様子を見せたがそんな暇を与えずクラスCのメンバーの総攻撃を仕掛けた。前方からも、後方からも、左右からもありとあらゆる方向から魔法を放つ。仮面の男が正和を攻撃している者たちを狙うがそちら側にはわしと遅延ちえ美紀みき禾本のぎもととクラスAのメンバーで攻撃をする。


「そろそろお遊びは終わりだ」


 仮面の男が氷魔法を放ってくる。わしは襲雷を発動し、すべて避ける。ほかの者も結界を発動し、完璧に防げているようじゃ。そして意識がそっちに向いている隙に美紀が仮面の男に右ストレートを浴びせた。


「なんなんだよ・・・!どうなってんだよ!?奴の魔法は次射じいでも苦戦する魔法だぞ!?どうしてお前らごときで防げる!?」


 その時、正和がハッとした表情を見せた。おそらく『ツリーブレスレット』の存在に気付いたのじゃろう。


「それか!!」


 正和が『ツリーブレスレット』を破壊しようとクラスCの奴らのもとに向かおうとする。

 もちろんそう来ることを予想していたのでわしはすかさず襲雷を発動してカバーに入る。そして電盾エネルギーシールドを発動させ、被害を防いだ。


「おいおい、わしを無視するなって。おぬしがこんなことをするなんてわしには予想済みじゃ」

黒速くろはや・・・!!」

「おぬしに二発目をくれてやろう!!」

「二発目・・・?まさか!!」


 わしがそういうと黒雷を拳に纏い、奥義を発動させる。


「黒速流最終奥義、黒裂弾獣破こくれつだんじゅうは!!!」


 奴に放つのは2回目じゃがたった2回だけでは対策は立てれないはずじゃ。くらええええええええええ!!

 正和は風魔法で黒裂弾獣破と真逆の方向に放ち対抗しようとしたが基礎の魔法力が違うのでそんなもんで防げるはずがなく奴は黒裂弾獣破の餌食となった。

そして残るは仮面の男のみ。


「・・・・・・クラスCたちの戦力増加。クラスAとBの巧みなる連携。そしてそれらをすべて統率できるリーダー気質を持っている黒速 次射。・・・・・・なるほど、面白い」


 仮面の男がぼそぼそとしゃべり始めた。じゃがわしはその内容よりも声の方が気になった。なぜならこの声、どこかで聞いたことがある気がしてな・・・


「死ねぇ!!」


 仮面の男から氷魔法が放たれる!!寸前のところで回避!そして密かに溜めていた黒雷を解放!!直撃を喰らったのを見てそのまま黒雷を連続で発射!!


「うららららららららららららららららああああああああ!!!!」


————ドォォォォン!!————ドォォォォン!!————ドォォォォン!!

放って・・・放って・・・放った。相手がどこにいるのかもわかっていないのに。


「はぁ・・・はぁ・・・」


 わしにしては珍しく焦っていた。なぜなら・・・


「フフフフ・・・おもしろい」


 奴の真の実力を恐れていたから——!!


「多少は力をつけてきたようだな。だがその程度では俺は倒せん」


 わしは再度、体勢を立て直した。じゃがわしの予想とは裏腹に仮面の男はただ不気味に笑っているだけじゃった。


「今日はおもしろかった。また会おう」

「なっ!?正和を置いていくのか!?」

「そいつとはたまたま目的が一致してたから協力してやってただけだ。正直、そんな荷物はいらない」

「何っ!?」


 奴はそう告げると、突如現れた霧の中に消えていった・・・




 しばらくして警察が学校にやってきた。倒れていた先生たちは何人かの生徒の治癒魔法で回復はしているものの一応検査に来てくれとのことだった。正和はもちろん、今回の事件を仮面の男とともに画策していたので警察に連行されるそうだ。


「クククククククッ俺が素直にムショに行くとでも思ってたのか?」

「なっまさか!!」


 わしは正和の方を振り返った。そして奴の手にはダイナマイトが握りしめられていた!一体どこに隠し持っていた!?いや、それよりも・・・

 奴の周辺には警官が数人いる。このままでは奴の道連れになってしまう!!


「そのまさかだよ!ムショに入って奴の情報を聞かされるくらいなら死んでやる!!」

「させるか!!」


 わしはすぐに止めに入ろうとしたがダイナマイトには既に火がついていた。パッと見た感じあと数秒で爆発する!!

 とっさに襲雷を発動!すぐに目の前に移動し、警官たちを救出した。そして正和の手元にあるダイナマイトを蹴り飛ばした。だが奴はダイナマイトをしっかり握っていた。


「無駄だ。俺のはめている手袋には物体を密着させる効果がある。てめぇの蹴りじゃあ取れねえよ!」


 わしはダイナマイトを見た。あと3秒・・・・・・!!わしは襲雷を発動して避けようとする!!


———まずいっ!間に合わ——!!!!


 その時、わしの目の前にあるものが目に映った。


———ドォォォォォォォォォォォォン!!!!!!!!!!


「次射!?」


 大きな音とともに爆発が起きる。わしは全力で電盾エネルギーシールドを発動したが、威力に耐えれず飛ばされてしまった。

 幸い、生きてはいるが至近距離から爆破を受けたのでダメージは計り知れない。どうやらすぐに動くことはできなさそうじゃな。

 これが戦闘中だったらまずかった・・・・・・


「次射!大丈夫!?」


 わしが倒れこんでいると美紀とクラスA、クラスCの回復役たちが駆け寄ってきた。回復役たちはわしのもとに来るとすぐに治癒魔法で回復してくれた。


「イタタタタタタタ・・・・・・助かったわい。今回は正直死ぬと思ったわ」

「至近距離で爆破受けたってのによくそんな呑気にいられるわね」


 治癒し終えた後、美紀の肩につかまりみんなのもとへ向かった。


「そういえば正和の奴は?」

「・・・・・・あそこよ」


 すると美紀はわしが爆破を受けた方向へ指をさした。そこには地面に膝をついている遅延の姿があった。奴の遺体は跡形も残っておらんかったようじゃ。


「・・・・・・・・・」

「遅延・・・・・・」


 わしらは遅延の背中を静かに見守っていた。




「ククククッあそこまで力をつけてきていたとはな」


 暗闇の一室に仮面の男が現れる。近くに置いてあったポーションを取り、一気に飲み干す。みるみるうちに男の体が癒えていく。


「正和は死んだようですね。少しもったいなかったのでは?ただでさえ人員が少ないのですから・・・」

「心配ない。もうすぐで終わる」




「遅延、大丈夫か?」

「ああ、心配ないよ・・・」


 正和が自爆して数十分後・・・

 あの後、軽いSHRをした後に下校となった。遅延は少し暗い顔をしていたのでこの度、一緒に下校することにした。すると「一緒に行こうぜ!」と禾本と小鮒こぶなさん、そして美紀もついてきた。


「本当に大丈夫なの?仮にもお兄さんでしょ?」

「・・・・・・まぁね」

「・・・まぁこれ以上は聞かなかったことにしておこう」


 わしは遅延のことを案じてこれ以上聞かないことにした。


 結局途中から正和から禾本と小鮒さんの恋愛話に話題を振った。すまんのう、二人とも。でもこれも遅延のためじゃ。

 その後、皆と別れた後、わしは美紀と少ししゃべった後に家に帰宅した。わしは一言「ただいま」と言った後2階に上がり、そのままベッドに横たわった。わしが思い出すのは正和のあの顔。奴はわしらを殺そうとしていたのに・・・爆発する最後の時のあの助けてくれと言わんばかりの顔。


 あの顔を見たとき、何とか助けたいと思った。敵なのに助けようと思ってしまうのはおかしいだろうか。なぁ全国の少年少女諸君。


 わしは自問自答を繰り返した後、眠りについた。

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