第二十九章 君の負けだ

「よく集まってくれたのう。皆の衆」


 わしはまたあの空き教室にクラスBのメンバーを集合させた。今度こそわしの特性を消すために。


「今から実験を始める。少し協力してくれ」


 わしらは装置の設置を始める。ちなみに美紀みきたちにどのような実験をするのかはまだ知らせていない。

 わしは昨日と同じように前世の記憶を別媒体に保存した。そしてわしをほかの先生が囲む。


「それでは行きますよ!黒速くろはや君!」


 先生たちが詠唱を始める。先生たちから膨大な魔力が放出されており・・・



 ほどなくしてわしは意識を失った・・・





「ん?ここは・・・・・・」


 数分くらい経ってわしは目を覚ました。あたり一面暗い空間が広がっている。中央には誰かが突っ立っている。わしは歩み始めてその人間に声をかけた。


「あの~すみません、ちょっとお話が・・・」


 そしてその人間はゆっくりとわしに顔を向けた。


 その顔を見て驚いた!なんとわしと同じ顔をしているのじゃ!!



「ようこそ、黒速じい次射。待っていたよ。まさかこちらの世界に赴いてくれるとはね」


 なんとわしと全く同じ声もしている。


「おぬしはわしの精神世界の番人といったところか」

「その通りだ。近々来ると思っていたが・・・まさかこんな手があったとはね」

「おぬしを倒せばわしの転生者の特性を消してくれると思って期待しておったんじゃが・・・」


 わしは奴をじっと見る。すると番人が笑い出した。


「あははははは、さすがだね。その説はあながち間違っていないよ」


 すると番人が語り始めた。


「ここは本来、君たちが来ることができないんだが・・・ここに来る方法は2つだけ。一つは自分が二重人格と入れ替わるか・・・自分が生死をさまよったときか」


 番人がわしに微笑む。ちょっと悪意のある笑みで。


「どうやってこんな方法を知ったのかな?」

「以前、老化の解除方法を調べたときに見つけてな。いつも頭の片隅に考えていたんだが・・・」


 すると番人が真剣な顔をして見つめてきた。


「それで、君は僕に勝負をしに来たと見ていいんだよね?」

「ああ」

「それじゃあ始めようか」


 そして番人が指を鳴らす。すると周りの暗い空間がどんどん変化していき県立魔法高等学校に変わった。


「君の記憶を見て再現したが・・・どうだい?」

「・・・うむ、始めよう」


 そこでわしは不意打ちで黒雷を撃つために指を鳴らした。ドォォォォンとものすごい爆音で奴の頭上に黒い柱が立つ。しかし番人は寸前でかわしていた。その時、わしは気づいた。奴の足に黒い雷がまとっていることに!!


「もう気づいたようだね」


 すると番人が指を鳴らした。わしの頭上に轟音とともに巨大な雷が降り注いできた。わしは襲雷でギリギリのところで回避した。

 わしは奴をにらみながら話しかける。


「わしの黒雷じゃな?」

「その通り。君の精神世界の番人だからね。君の能力を使うことくらい簡単さ。まぁそれだけではないけどね」


 そう笑いながら番人は杖を取り出す。もちろんわしは杖なんて持ったこともない。じゃがどこかで見たことがあるような気もする。

 わしがその記憶をたどろうとするのも束の間、番人がどんどん武器を取り出す。じゃが見れば見るほど知っている武器ばっかり出てくる。遅延のゴーレム生成器に美紀が最近使い始めていた特製のメリケンサック。そのほかにもわしらのクラスの者たちが使っている武器をどんどん取り出していく。


「まさか・・・わしの記憶をたどって・・・!?」

「そう、鋭いね」


 そうつぶやきながら番人はすべての武器を宙に浮かせた。そしてそれをわしの方めがけてものすごい速度で飛ばしてきた。わしは持ち前の素早さで避け、当たりそうになったら電盾エネルギーシールドで防御した。が、無限に飛んでくる武器たちを避け続けるのも体力を消耗しすぎてしまう。かといって全部電盾エネルギーシールドで防いでいたらMPが持たん。


 そう思い、わしは賭けに出た。わしは電盾エネルギーシールドを解き、飛んでくる武器たちを避け続けながら少しずつ前進していった。

 すると突然、番人は武器を召喚するのをやめた。番人は黒雷を発動しようと指を鳴らそうとする。


「させるかぁ!!」


 ここがチャンスだと思い、一手早くわしが先に黒雷を発動。ドォォォォンと爆音が響く。


「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァ!!!」


 わしは叫びながら指パッチンを連打して黒雷を撃ちまくった。黒雷、計24発放った。普通なら避けられないはずじゃが・・・

 わしやほかの者の武器を使えるあの番人なら生き残っている可能性は高い。わしは黒雷を撃つ構えをとったが・・・


 グサッ・・・


「・・・なっ・・・!」


 いつの間にか槍がわしの右肩に刺さっておった。わしはあまりの痛さに膝をついてしまう。


「いやぁ危なかった♪とんでもないことをしてくれたね」


 煙の中から番人が何事もなかったかのようにやってきた。うずくまっているわしを上から目線で見る。


「あと、君に残念なお知らせだ。ここまで頑張っておいてあれだが、僕を倒しても転生者の特性を消すことはできない」

「な、なに・・・!?」

「僕にだってできないことはある。転生前の記憶は消せるけど特性までは消えはしない。できる方法はあるにはあるが僕には無理だね」


 すると番人が立ち上がった。そしてわしを憐れむような目で上から見下ろしてくる。







「君の負けだ」

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