第23話 車で宇都宮東武百貨店に買い物に出かけたら愛猫みにゃんがビビって軟体動物化してた話

 15年くらい前の話さ。

 陽光きらめく5月の週末に、愛猫みにゃんも乗せて栃木県にドライブしたんだよね。


 せっかく栃木に来たんだから、宇都宮の餃子も食べたいし、買い物もしたいと妻マキが言うので、市街地の真ん中にある東武百貨店に行ったんだ。


 当然みにゃんは俺たち夫婦が外へ出ている間は車でお留守番になるわけだけど、5月と言えば屋外に置いた車の車内は熱くなるので、その対策をとらねばならない。


 って訳で、まず助手席の足元にアルミ板を置いた。日陰ならばヒンヤリするやつさ。

 さらに各窓を3センチくらい開けて、車は買い物客用のタワーパーキングに入れた。

 これで車に陽が当たることは無い。


 ちなみに車内のみにゃんはと言えば、後席でへよ〜んと寝ていたよ。


 これで良しと言いつつ、俺たち夫婦は車を離れ、オリオン通り商店街で餃子を食べ、百貨店で買い物をした。


 …そして俺たちはタワーパーキングに戻り、車を出庫してもらった。


 車の車載台がタワー内でガゴンガゴン回る音がして、タワーパーキングの扉が開き、俺たちの車が現れた。


 「みにゃん、ただいま〜!」

 と言って車に乗り込むと、しかし車内にみにゃんの姿は無かった。


 「大変だ!みにゃんが居ない!」

 俺とマキは同時に叫んだが、とりあえず車をタワーパーキングから出さねばならない。


 って訳でタワーパーキングから少し離れた場所に車を停め、2人で必死にみにゃんの捜索に入った。


 「みーちゃ〜ん、どこ〜?」

 「みにゃ〜ん!」

 車内を懸命に呼びかけるも、みにゃんからの応答は無い。


 窓の3センチの隙間から外へ出たとは思えない。必ずみにゃんは車内にいるはずだと俺たちは信じて探し回った。


 …そして5分後、

 「あっ、居た!!」

 マキが叫んだ。


 みにゃんは助手席の下の空間に、軟体動物のように平べったくなって震えながら伏せっていたのさ。


 「何でこんな隙間に?」

 俺がそう呟くと、

 「…たぶん暗い中でガゴンガゴンと車が回る音が怖かったんだわ!」

 マキが応えて愛猫を引っ張り出して胸に抱きしめた。 


 …って訳で今となっては良い思い出さね。


 という話でした。



 第23話     完


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る