<十五>時計

悪夢から覚めた

地獄を見てきた

始まりの

誰からも望まれない朝


か弱い細い手首を出して

気づけば朝日を目に映す


壊れかけたこの道を

踏み外さないよう進んでく

先が見えるのかな

生きてけるのかな


でも今は

今は


生きるための時計を

少しでも、少しでも延ばすため

血をのみ込み

唇を噛み

擦りむきながら

また殺されかけて耐え抜くの


そう、その行動こそ

私の「幸せ」のはずだから


時計にひびが入る

苦しくなる

痛みが増す


決壊しないようにまた

自分を壊して耐え抜くの

何で覆えばいいのかな

また嘘を吐くべきなのかな

私の存在が

消えてなくならないように


絆創膏が足りなくても

限界をとっくに過ぎていても

覆わなければいけないの


生きていれば幸せのはずだ

そう、そのはずなのに

痛い 痛い ずっと痛い

いきていたいよ

でも無理なんだよ


夢が覚めないかな

これは悪夢なんだ

夢の中でまた夢を見てる

私を保つために

そんな汚い暗示をかける

続くのはひと時


時計を壊すんだ

人生を壊すんだ

いきていたいよ

だから


自分の時計はゴミ箱に

おやすみなさいの暗示をかけて

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る