99.範囲内?!

「そう言えば、期末テストのご褒美何か決まりましたか?」


 陽葵さんが、期末テストで3位に入った事で、今度は、僕から陽葵さんに、ご褒美をあげる約束をしていた。


 あれから、ご褒美のリクエストが無かったので、一応、聞いてみる事にした。


 陽葵さんの事だから、飛びついてこれでもかとリクエストされると思っていたが、中々、リクエストが無いのだ。


 もちろん、条件として高校生の倫理的範囲内としている。


「えっとね…………決まっているんだけど、時間が来たら言うから、待って!」


 陽葵さんは、頬を赤く染めながら、時間が来るまで待ってほしいと言った。


 僕が、陽葵さんからご褒美を貰った時は、膝枕をご所望した。

 その時は、気持ちが良くて、ぐっすりと寝てしまい。その姿を祖父母に見られて写真に収められた。


 ちなみに、静ばぁから貰った写真は、スマホの写真フォルダーのお気に入りの所に、保存してある。


 本当に、陽葵さん。


 高校生の倫理的範囲内で抑えてくれますよね?!


 そこから、陽葵さんが夕ご飯の準備を始めるまでは、アニメ鑑賞をした。


 夕ご飯の準備を始めた陽葵さんをチラチラと見ながら、自室から持ってきた参考書を解く。


 白色のワンピースの上に、ハート柄のエプロンを着けている陽葵さんは、可愛らしい。


 何より、清楚と可愛いのコラボレーションは、反則級に、彼女の良さを引き立てている。


 陽葵さんは、鍋に蓋をすると、僕の隣の椅子に座った。


「夕ご飯は、何ですか?」

「今日はね、ビーフシチュー!明日、2人が帰ってきても食べられるように、多めに作ってるよ!」

「祖父母の事にも気を使って頂きありがとうございます」


 旅行から帰ってきたばかりの祖父母の負担も考えて翌日分も含めて作ってくれているようだ。


 「それでね、2人には普通に食べて欲しくて……今日はね、オムライスにビーフシチューを掛けてみようと思う」


 何とも美味しそうなご飯のご提案な事。


 ん?


 ちょっと待てよ。


 オムライス + ビーフシチュー = 実質的に、2食近い食事を取らないとダメなのでは?


「陽葵さん。もちろん、オムライスとビーフシチューで、通常の1食分ですよね?」

「う〜んとねぇ、詩季くん的には、1.5食分かな?」


 あぁこれは、何を言っても出した分は、食べきれよという圧力だ。


 恐らく、食べきらなければ、静ばぁに報告されてしまう。


「お手柔らかにお願いします……」

「もぉ〜〜詩季くんは、食べないとダメなんだよ!陽翔に比べると本当に食べないんだから!」


 陽葵さん曰く、運動部に入っている瑛太くんは、基準外だとしても、同じ帰宅部の陽翔くんを基準にすると、僕は、本当に食べないらしい。


 というか、僕の食生活に関して、陽葵さんが把握しているという事は、静ばぁが情報を横流ししているに違いない。


 ……学校で、食堂を利用する際にもバレているか。






 夕ご飯は、大変に美味だった。


 僕のお腹が一杯で少々苦しいことを除けばだ。


 陽葵さんめぇ〜〜1.5人前と言いながら、きっちり2人前入れていたように感じる。


「陽葵さん、お風呂入るなら用意して先に入ってもらって構いませんよ」

「うぅん。詩季くんが、入るタイミングで入れるよ」


 はい?


 僕は、身体的な理由で、お風呂の準備が出来ない。

 だから、昨日は陽葵さんに用意してもらったし、今日もお願いする。


 たから、陽葵さんが入りたいタイミングで用意してもらって一番風呂に入ってもらおうと思った訳だ。

 まぁ、流石に、僕の就寝時間までには、お風呂の準備をしてもらいたい我儘はある。


 食後の洗い物を終えた、陽葵さんが、僕が座っていたソファの隣に腰掛けた。


「…………あのね、期末テストのご褒美なんだけどね…………」

「どうしたのですか?」


 陽葵さんは、頬を赤らめながら、僕に尋ねてきた。


 僕は、陽葵さんが入れてくれた紅茶を口に運ぶ。


「一緒に、お風呂に入って欲しい」

「ぶっ、ゴホッゴホッ!」


 これも、姉妹と言うやつなのか、何で、僕が飲み物を飲むタイミングで、とんでもない要求をしてくるのだ!


「なっ、何言っているのですか!」

「もっもちろん、水着着るから」


 なるほど、陽菜ちゃんが、陽葵さんが水着を持ってきている事を暴露してくれたが、こういう事か!


「水着を着ると言っても、男女が2人ですよ?」

「うん。詩季くんとなら大丈夫だから」


 本当に、僕の事、無警戒過ぎやしませんかね。


 確かに、力では陽葵さんに負けるだろうけれども、無警戒すぎる!


「僕も、男の子ですよ!」

「わかってるよ!と言うか、詩季くんも、膝枕お願いしてきたじゃん!」


 膝枕が、OKなら水着を着て一緒のお風呂はありなの?!


「ねぇ、ダメ?今日、着る水着はね、皆で、プール行く時に着るやつで、先に詩季くんに見せたいの」


 なら、お風呂じゃなくても良くない?


 と思ったが、何も無い所で、女性が水着を披露するのは、カップルのする事かもしれないじゃない?だから、陽葵さんなりに、お披露目の場所を作ろうとお風呂なのか?!


 陽葵さんの水着を着るという事は、陽葵さんの服の中に隠れている肌を見るという事だ。


 思春期男子として、気にならない訳がない。


 むしろ、見てみたいと思う。だけど、一緒にお風呂に入るという事は……


「詩季くん、ダメ……??」

「うん、いいよ」


 陽葵さんの上目遣いに、負けて、僕は、陽葵さんとお互いに水着を着たうえで、一緒にお風呂に入ることになった。


 決して、陽葵さんの服の中に隠れている、スタイルを拝んでみたいと言う邪な感情ではない。


 陽葵さんの上目遣いに負けたが、前者で40%程で、スタイルを拝んでみたいが、後者で50%位。残りはその他だ!!


「じゃ、準備してくる」


 陽葵さんは、お風呂の準備をしに行った。


 色んな事も有り、満腹で動けなかったが、大分回復していた。



――― 後書き ―――


第100話は、2人の入浴回になりますねぇ~~(*´艸`*)

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