地獄オンナ

@k0905f0905

第1話

「まだ、食べるの?」

大和大寺(だいじ)が恋人の氷上杏奈(きょうな)

をレストランで呆れ顔で見詰めた。

「まだ、まだ、これからよ」

「これからって、もうカツカレー五杯目だよ」

「ちいさい、ちいさい、大二くん、ちいさいなあ」

「小さいとか大きいとかそういう問題じゃないだろ」

大寺はおかんむりだ。

いかに杏奈のことがだいすきだという負い目があるにしても

これは許せない。

この高級レストランのカツカレーは一杯二千円もするのだ。

「もう、いいって、杏奈、出よう」

「しかたないなあ。それじゃあ当然

大寺くんのおごりね」

杏奈はしごく、当然といった顔をしている。

「わかった、それでいいよ」

大寺は仕方なくレジで一万円を支払った。

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