第1話

 朝と夜の距離を、知っているだろうか。

 永遠よりも果てしない、孤独と絶望の距離。

 もう何日も何日も何日も、明けることのない今夜に飲み込まれた。眠くならず、食欲も湧かず、何ひとつ忘れることすらできないまま。ぼくはもう、ずっとこの孤独な世界で生きている。退屈に時間ばかりあるから、つい余計なことを考えてしまう。死んでしまった方が楽だとか、そういうことを。それでもぼくが生きることを辞めなかったのは、償う方法を他に知らなかったから。

 あの空の向こう側、真っ黒な帳の天井で、一番星が煌めくまで。ぼくはぼくを、許せないのだから。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る