第2回カクヨム短歌・俳句コンテスト/一句部門

花沫雪月 (元:雪月)

肝試し離れて父と初火球

私の実体験から詠みました。


小学生4年生の夏のお話です。

子供と保護者での一泊二日のキャンプの集まりに私は父と参加していました。


人里からは離れた山の中にあるキャンプ場で、天気はすこぶる良く、まさにキャンプ日和でした。


日中は併設のアスレチックなんかで遊んだり、虫を採ったりと満喫。


夜になった頃。

夕食のカレーを食べた後、肝試しをしようということになりました。

山の中なので街明かりなんて届かず、少し木のある小道は本当に真っ暗で、そこでやろうということでした。


私はいわゆるお化けを心底信じていたので、肝試しなんてとんでもないと、絶対に参加しないと、泣いて嫌がりました。


結局、他の子供は皆参加する中、私と父だけはテントサイトで留守番することになりました。


少し離れたところからは、おどかされた子供達の悲鳴が聞こえてきます。


そんな時でした。

父が私の手を引き、少し斜面になっている草原に連れていって「星でも眺めて待っていようか」と

ごろんと仰向けになりました。

私も同じように仰向けになりました。


満点の星空が目に飛び込んできました。

雲ひとつない本当に見事な星空です。

私は先ほどまでの嫌な気分も忘れ、星空にみいっていました。

父も「もう大丈夫そうだな」と一緒になって夜空を見上げていました。


それから15分くらいじっと夜空を眺めていた時でした。

パーっと空の一角が明るくなって夜空を火の玉が横切っていきました。

色は赤に近いオレンジ色で、かなりハッキリ見えましたから2秒くらいは見えていたと思います。


父も私も「えっ」っと声をあげていました。

火の玉が見えなくなった後も私は「何あれ何あれ」と興奮していましたし、父も「あんなのは初めて見た」と興奮気味。


私は興奮冷めぬまま、肝試しから帰ってきた子供達に凄いのを見たと自慢して回りました。


あとに調べて、それが火球と言うのだと知りました。


肝試しの後は、私の話を聞いたので皆で星空を眺めてみようとなりました。

皆、星空を楽しんでいましたが火球は現れず、私と父だけが火球を見ることが出来たと少し優越感に浸ったものです。

我ながら子供っぽいですが、大切な夏の思い出です。


でも、肝試しにいった子じゃなくて、私が本物の「火の玉」を見るなんて少し面白いですよね?


私は鳥取県の出身でこれも鳥取県の山のキャンプ場でのお話です。

鳥取県は「星取県」とPRするくらいに、本当に見事な星空を楽しむことが出来ます。








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