市長急逝 勤務中に倒れ意識戻らず 市長選は4月実施へ

市長急逝 勤務中に倒れ意識戻らず 市長選は4月実施へ


〇〇県〇〇市は25日、〇〇市長が同日午前、市内の病院で死去したと発表した。68歳だった。通夜の一般参列は27日午後4~6時、告別式の一般参列は28日午前10時~正午、同市の陽光会館〇〇会場で。喪主は妻の美代子さん。後任を決める市長選は、4月5日に行われる見通し。

 副市長はこの日の記者会見で、「長年に渡り、市の発展のため力を尽くした。突然のことで我々も驚いている」と述べた。

 

 市長は1999年9月、旧村時代に村長として手腕を振るった後、前市長が談合事件で辞任したことに伴う市長選に立候補し当選。以降20年以上にわたり、市長として長年市政運営を行った。周囲の人は「仕事にとても熱心な人だった」と振り返る。


地域の観光を盛り上げるため、市内の史跡の再整備や文化財の利活用の強化、観光施設の整備などを熱心に行った。また教育にも力を入れ、市内の総合体育館の小中学校の活用を推進するなど行った。


 市によると、公職選挙法の規定により、死亡の通知を選管が受け取ってから50日以内に市長選を行う。市は27日に選管へ通知を届け出る予定で、市長選は4月5日告示、12日投開票となる見通し。当面は副市長が市長の職務代理者を続ける。

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私はPCの過去のニュース画面から目を逸らし、事務所の棚の上に置いてある監視カメラに視線を移しました。人影が映ったような気がしたからです。作業の手を止めモニターを見てみましたが、すでにカメラの死角に移動したのか、画面には誰も写ってはいません。最近少し疲れていたので、見間違えたのかもしれません。


私は美術館の学芸員として勤務しているのですが、最近、美術館に変な人が現れ、私たちを困らせています。その人は、浮浪者のような姿をしており、気がついたら美術館内を徘徊しているのです。気をつけているつもりなのですが、その男はいつの間にか館内に入ってきています。確認するために現場に向かうと、男の姿は消えてしまっています。今のところ体験しているのは私だけのようですが……ただ、それだけで特に悪さをするわけでもないので、上司に相談もしづらく、気分が滅入ってしまいます。


私の考えすぎかもしれませんが、彼の存在は美術館の雰囲気に影を落としている気がします。普段は静寂で落ち着いた空間が漂う美術館内ですが、彼の姿が見えると、得体の知れないものと同居させられる監獄に閉じ込められたような気分になります。そして徐々に、恐怖のようなものが湧き上がってきます。彼の歩みは不規則で、時折振り返りながら館内を歩く様子が監視カメラのモニターに映し出されます。美術館の美しい作品と彼の野放図な振る舞いとの対比が、なんとも不気味な雰囲気を醸し出しています。


私は彼の姿を見るたびに、彼の行動が、美術館の他の訪問者に与える影響があるかもしれない。美術館のイメージを損なうかもしれない、と考えてしまいます。彼が美術品に危害を加える可能性も考えられます。副館長に相談してみましたが「少し様子を見てみましょう」と言われてしまいました。もしかしたら、私が気にしすぎておかしくなったと思っているかも知れません。


しかし、やはり、美術館の安全や秩序を守ることも大切だと思います。学芸員の仕事ではないかもしれせんが、私なりに彼への対応方法を模索しています。館の環境を守るために努力しています。しかしそんな苦労の甲斐なく、彼の姿が美術館に現れるたびに、私の心は不安と疲労で満たされます。


最近、前市長が亡くなったことに伴い、選挙で新しい市長が立候補したというニュースを聞きました。その候補者は若く、経済の立て直しを政策目標に掲げています。とある政党がバックについているとの噂もあり、インターネットを中心に支持者が増えているそうです。しかし正直なところ、私の周りの人たちからは、あまりいい噂を聞きません。特に美術館に来られる人たちは新しい市長を快く思っていないようで「降ろさねば」などと物騒なことを言っています。


以前の市長は、私がこの町に来る前からずっと市長をしていた方で、地域の人々との絆が深かった方でした。たまに美術館に訪れては、館長、副館長と熱心にお話をされていました。私のいるこの市は、ふたつの村が合併してできた市であり、前市長は合併前からずっと政治に関わっていた人だったそうです。


しかし、前市長はある日突然市長室で倒れ、そのまま病院で亡くなってしまったということでした。ご高齢だったとはいえ、お元気そうな様子だったので驚きました。関係者は急遽代理候補を立てるも間に合わず、若くて経済再建を掲げる若い市長が当選してしまいそうな状況です。新しい市長候補は、もともと霞ヶ関で働いていたと言っており、経済政策を全面に打ち出しています。地元の人々とのつながりが薄いため、彼の就任を期待する声と同じくらい、不安の声も多く聞かれます。少なくとも、私の周りでは、新しい市長の政策目標である経済の立て直しに対して懐疑的であり、彼の若さや経験不足も不安の種であるようです。ヒステリックに彼を非難する様子は、少々狂気じみたものも感じますが、一方で私自身も新しい市長に対して戸惑いを感じています。政策で経済の立て直し謳う自治体では、美術館のような文化施設は真っ先に”標的”にされます。正直、とても不安です。

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