1991

寅次郎

第1話

2024年 正月




僕の名前は亀井竜太郎45歳




都内の工場で働くサラリーマンだ。




結婚どころか彼女もいない。




正月は家族で集まる事になっている。姉は酒が入ると必ずと言っていいほど、僕の中1の時の失態を言ってくる。それは僕が中1の時に当時⒓チャンでやっていた、『ギルガメッシュナイト』を部屋でパンツ下して観てた時、姉のノックに気づかずに見られてしまったばっかりに、スケベ、センヅリ、などとネチネチ言われているのだ。そのせいで自己肯定感も低く仕事でも失敗ばかり。そんなこんなで彼女なし。




この日も正月休みだった。


姉にスケベ、センヅリ言われ放題だ。さすがにこの歳になっても言われ続けるのはしんどい。1991年


あの時に戻れたらやり直せるのに…




強く念じたら頭の中に走馬灯のように過去の映像が流れた。映像はかすかにあの1991年が見えた所で


途切れた。なんだ?この感覚は。こんなに強く念じたのは初めてだった..






僕は正月ってこともあり古い友人アキラと居酒屋で飲むことになってた。


アキラとは小学校の時からの関係だ。アキラは結婚してるが、子供はいない。誰よりも僕のことを知ってくれてる存在だ。アキラはギルガメッシュの件も知ってくれている。1991年アキラも中1で今みたいにテレビが厳しくなかった時代、携帯おろかネットもなかったあの頃、男たちの娯楽と言えば『ギルガメッシュ』くらいだった。




アキラが言う




「確かに今でも言われるのはしんどいけど、許したら?」




「いや、ゆるさない」




それよりこの間のタイムスリップの話をした。






するとアキラが




「ちょっと疲れてるんじゃないか?」




と言われてしまった。




自分でおでこに手を当ててみた。




そうかもな、と思うのだった。






居酒屋からアキラの家にお邪魔した。アキラの奥さんに明けましての挨拶を済ますと、アキラが買ったばかりだというヴィンテージのベースを嬉しそうに見せてきた。アキラとはスリーピースバンドを組んでいたことがある。その頃からアキラはベースに凝りだした。アキラはチョッパーをする。腹に響いて気持ちがいい。またバンドをやりたくなった夜だった。

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