第4話 【書評】キリスト教の歳時記(2023.6.10記)
【まぁつりだ、祭りだ、祭りだ、豊年祭り】
1.書名・著者名等
八木谷 涼子 (著)
『キリスト教の歳時記(副題)知っておきたい教会の文化』(講談社学術文庫)
出版社 : 講談社
発売日 : 2016/12/10
文庫 : 344ページ
2.兎平亀作の意見です
私、念仏です。異教徒です。
この度、キリストさまと不思議なご縁を結んで下さいました事を、著者に深く感謝します。(これは奇蹟だとは申しません。)
おめでたい話ばっかりだから、読んでいて楽しかったです。
けっこう俗っぽいのも気に入りました。
(引用、はじめ)
(本書、52ページ、「クリスマス」の項より)
南国フィリピンでは、パロルと呼ばれる星形ランタンが街中に飾られる。メキシコ、グアテマラ、ニカラグアなど中南米の国で子どもたちが楽しみにしているのは、ピニャータと呼ばれる素焼きの壺だ。これにお菓子などをつめ、外側をきれいな紙で飾りつけ、ロープで高い位置につるし、日本のスイカ割りの要領で子どもたちが順番に目隠しして棒で打つ。
(引用、おわり)
とっても楽しそうじゃありませんか。
本来は節制と悲嘆と服喪の祭事であるイースターも、みなさん、メリハリつけて楽しんではいるようですし。イースター・パレードとか。
「こういう所からキリスト教に入るのもアリだな」と思いました。
聖書を読めばキリスト教の「核」または「芯」を頭で理解する事はできるのでしょうが、親しみやすい外周部から、ゆっくり御教えに接近して行くのもアリなんじゃないでしょうか。「楽しさ」や「美味しさ」は、感覚器官を通して心と体と記憶に沁み込みますからね。
他にもう一つ挙げると、「キリスト教にも『お盆』らしきものがある」なんて、初めて知りましたよ。(万聖節および死者の日のこと。メキシコのは特にハデハデ。)
「やっぱり、宗教史・思想史のお勉強だけじゃキリスト教は分からない。こういう習俗(生活習慣化した宗教文化)まで含めて受けとめなきゃダメだ」と、思いを新たにしました。
それにしても、どうしてニッポンには、成田山や浅草寺や川崎大師みたいな「お気軽に参拝できる」俗っぽい教会が無いんだろう。(ニッポン中のお寺が、高野山や増上寺や永平寺みたいな感じになったら悲しいです。)
クリスマスにせよヴァレンタインデーにせよハロウィーンにせよ、ニッポンでは異教徒に「おいしいトコだけ摘み食い」されてる状態ではありませんか。
仏教には「牛に引かれて善光寺参り」と言う言葉もありますぞ。「信心の最初のきっかけは牛でも良い」と言う意味です。
と思っていたら・・・、
(引用、はじめ)
(本書、303ページ、「■日本では七五三なども教会で祝うというのは本当?」より)
どこでも必ずというわけではないが、正教会、カトリック、プロテスタントを含む多くの日本の教会では伝統的な年中行事と関連した祝福式を行なっている。たとえば、成人の日前後には新成人の、敬老の日の前後には高齢者の、七五三の前後には子どものそれぞれ感謝祈禱や祝福式が行なわれる。
なお、元日の一月一日にも何らかのプログラムを持つ教会が多い。
(引用、おわり)
大変けっこうな事じゃありませんか。
今ではニッポンのジョーシキみたいになっている神社の初詣だって、これが大衆化したのは、実はさほど昔の事ではないのですから。
ニッポンの神の子たちの健闘をお祈りします。
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