分裂の鳥獣使い ~どうして俺が◯◯を食べなければいけないのだろうか~
かなた茶P
第1話
「おじい様、今日のノルマのものです」
「おお、ケルト。今日も狩に行ってくれてありがとうね」
「いえ、おじい様。今日もたくさん連れました」
僕は大きなお肉を置くとおじいさんの背中へと向かう。
「腰は痛くないですか?良かったらマッサージでも」
「いいよ、ケルト。遊びに行っておいで」
おじいさんはにっこりと笑顔を見せる。
「でも……」
「大丈夫だよ、休憩は大事なもんだ」
「……わかりました。おじい様。では、行ってきます。」
「気を付けていきなさい」
「はい」
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どうも。ケルト・ルシュードです。
俺はいま、山の中でひっそりとおじいさんと暮らしています。
いや~、前までは東京で26歳のニートである佐倉一二三として活動してたんだけどな。気づいた時にはこうなっていました。
よく世間からは「異世界転生」とか言われるんだろ?俺はそーゆーの読まないタイプだからよく分からないけど、言えることはただ一つ。
作者!!!この世界に作者がいるんだろ!?俺を元の世界に戻せやぁ―――――!!!!
あっ、そんなジト目で見ないでくださいよ。恥ずいじゃないか。
えっ?今でも元の世界に戻せれるって? ……やめときます。「読者」様が可愛そうなので。すみませんね、優柔不断で。
まぁ、住んでいる所が気持ちよくてね。外を飛び出すと遠くからのどかな緑と麗しき風が俺の体を吹き抜ける。家から目と鼻の先にきれいな透明の水が瀬々来で行く。
毎度思うがここってヨーロッパのアルプスではないよね?
俺は木々を潜り抜け、草原へと出る。風が吹き、その風に揺られる草が気味良い。今日もきれいに風と草は靡いている。俺も誘われたような気分だ。風が俺の背中を押すのだ。
俺が転生する前にサントリーのCMで草原を駆け出すシーンがあったけど、今の俺はまさにそれだ。
「えっと… ゾクラム、サンダー!!」
俺が大きな声で唱えると空から竜と鳥の鳴き声が聞こえてきた。トーン的には結構大物。
その数秒後、黒い影が頭上から来たと思ったら、たちまち砂ぼこりが舞う。
ドオオォォォォォォンンンンン!!!!
「ヴォォォォォォンンンンンン!!!」
「ケェェェェンンンン!!」
ゾクラムとサンダーが一斉に雄叫びを上げた。やっぱ迫力スゲー!!
「よしよし、いい子だ。はい、今日のご褒美だ」
俺はゾクラムとサンダーに餌を与え、頭を撫でてやるとゾクラムは目を細めて嬉しそうに喉を鳴らし、サンダーも頭をこすり付けてくる。
ここで解説しよう。ゾクラムとサンダーは、俺が飼っている竜と鳥だ。
ゾクラムは、全長10mほどの大きな翼を持ち、脚には鋭い爪が付いている。全身は蒼い鱗に覆われていて、黒い瞳が鋭く光っている。まさにドラゴンって感じの見た目だ。
ここで解説しよう。ゾクラムとサンダーは、俺が飼っている竜と鳥だ。
ゾクラムは、全長10mほどの大きな翼を持ち、脚には鋭い爪が付いている。全身は蒼い鱗に覆われていて、黒い瞳が鋭く光っている。まさにドラゴンって感じの見た目だ。
サンダーも同じく全長10mほどの翼があり、尻尾に雷のような形の毛が生えている。体は全体的に黄色っぽい色で羽毛が生えているためフワフワしている。口には牙が生えており、足にも鋭い爪がある鳥獣だ。
皆様はここまで読んでお察しがついたであろう。俺はこの竜と鳥獣の使い人だ。簡単に言うと俺は転生直後、野性味あふれるこの生物を山から連れ出しては共に生活している。
転生した後に調べたんだが、この世界にとって鳥獣使いは、とても希少な存在であり、その力を手に入れたい貴族からはとても狙われる存在である。
この家は、もともと鳥獣使いの家系らしく、俺が転生する前のこの家族は、この山でひっそりと暮らしながら鳥獣使いとして生計を立てていたらしい。
だが俺が転生する1年程前に、両親が病に倒れてしまったため、俺が代わりに狩りや家事をすることになったのだ。
もちろん、この鳥獣使いとしての力も、俺はあまり使わないようにしている。
そして、俺の秘密はもう一つある。それは…
「サンダー、例のものを出してくれ。」
「ケェェェェン!!!」
鳴き声と共に口から出したのは赤い血とドクドクと動く内臓のようなもの。
「ううぅ、嫌だなぁ。」
俺は、サンダーの
そう、俺の秘密は魔物の心臓を食べることである。
「でも、これも生きていくためには仕方がないことなんだ。」
俺は自分にそう言い聞かせる。
だって、俺はまだ子供なのだ。今、14歳という成長期なんだ。 そんなときに肉を食べないでいつ食べるというんだ。
そんなことを考えているとサンダーが心配そうな顔でこちらを見つめていた。
「大丈夫だよ。ほら食べてあげるからね。……うっ!!」
何故俺が内蔵を食べなければいけないのか。それは俺の身体がとても柔らかくなってしまったことに関係している。
鳥獣使いには、1人1人異なったデメリットを持っている。
その中で俺は「仮に内蔵の血を飲まなければ30分後に身体が分裂する」というデメリットを持っている。しかも、分裂するときに俺の意識は消えてしまうのだ。
ここでもう1つ疑問に思っただろう。飲まないと分裂するってどういうこと?と。
ではここで解説しよう。俺の心臓が分裂して、血液を全身に送り込む管もそれぞれ増える。すると俺は?どうなると思う?
そう、血が足りない状態になるんだ。そしたらどうなるか……答えは簡単。俺の身体は血管に張り巡らされている毛細血管から血をもらい始める。そして1日で10リットルもの血が身体の中からなくなるのだ!!しかも、この状態は30分しか持たない。
つまり俺は毎日1時間おきに心臓を食べなければならないのだ!!
「はぁ、いくか。サンダー、血を頼むよ。」
俺は手に少しの血をすくうとそのまま口に持っていき口へ入れる。
ゴクンッ!! すると、俺の体が一瞬光を放つと共に肌色から白に変化する。髪も白髪になり、身体全体が小さくなる。30分が経ち俺は大人の身体になると同時に意識が戻ってくる。
「ふぅ、この体にも大分慣れてきたな……」
もちろんこの現象は毎回起こるわけではない。1週間に1回程度だ。
「よし、これで大丈夫だよね?」
「クェェェン!」
俺は肩の上でサンダーは悲しそうに鳴く。
「ごめんね、ゾクラム、サンダー。やっぱり血は苦手だよ。」
ゾクラムとサンダーは俺の言葉に何度も頷いた。
それから俺はしばらくの間、ゾクラムとサンダーと一緒に休んだのだった。
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