なにかがおかしい
アザラシラッシー
第一章 先生からの頼まれごと…
|「ふゎあ~あふあふ、はぁ、や四時間目かー」
私は豪快なあくびをした後、ため息をついた。
4時間目の授業がやっと終わったかとのびをしていると、クラスメイトの優里ちゃんが一緒に手洗いに行こう!と誘ってくれたのでいくことにした。手洗いを済ませた後は給食の当番表を確認する。
「げっ、まじかよ、盛り付け後の配膳片付けか~」と、隣で嘆く男子がいる。
しかし、私は特に何もない、先生に頼まれたことをする!!と書かれてあった。当番表で決められた役割は1週間続く、私はこの1週間ほとんど何もしなくてもいいので心の中でガッツポーズをした後、隣で嘆いている男子に向けて『ふっ…せいぜい1週間昼休みの時間を奪われる苦しみを味わうんだな、私をあおりまくった自分をうらめ‼』と言ってやった。
……………………心の中で。
給食準備の間、私は特にすることはないので席に着き一人窓ガラスの外の曇り空を見ながら昼休みは特にやることはないので何をしようかと考えていた。
すると、珍しく先生が声をかけてきた。
「麻美ちゃん、すまないが倉庫室に行ってダンボール箱の中にある資料ファイルをとってきてくれないか、今先生は給食当番の手伝いをしていて手が離せないんだ。あぁ、ちょっとマサキ君!そんな持ち方したら落としちゃうよ⁉ごめんね麻美ちゃんお願いしていいかい?」マサキ君は先生が注意しているにもかかわらず、おかしな皿の持ち方をしている。今にも落っことしそうだ。
そんなマサキ君に向けて先生はまた、本当にやめて!落としちゃう!危ないから!と、マサキ君に向けて呼びかけている。
この先生はいつも優しい。今日も給食当番というめんどくさいものを生徒に押し付けまいといって私を仕事から遠ざけてくれた。仕方ない、先生の優しさに免じてここは引き受けて上げようかな。
「わかりました。えっと、倉庫室のカギって、」
「あぁそうだった!麻美ちゃんは知らなかったね、カギは職員室にあるからそこに行って借りてから行くんだよ」返事をして教室から出て数秒もたたないうちに、《パリン!!》お皿が割れた音がした。
「も~だから落とすって言ったんだよ?」と先生がマサキ君に向けて叱っていた。その声は廊下によく響いていた。
「まったく、私のクラスは本当に…」そうぼやきながらも私は職員室に向かった。
「失礼します。2年B組山本麻美です。倉庫室のカギを借りに来ました。」
職員室はいつもと同じく少し暗い。「どうぞー左手前のロッカーにあるからとっていきなー」知らない先生だ、職員の方だろうか。自分のデスクに洋服の雑誌を広げ、右手にはコーヒー左手にはクッキーを持っている。まあなんとのんきなもんだな、一瞬、先生がそんなことを生徒の前でしてもよいものだろうかという考えが頭をよぎるが、まあ先生もいろいろ事情があるのだろう。もしかしたら仕事に追われていたから休憩をとっているのかもしれない。そう思うことにした。そうして職員室から倉庫室に移動してきたわけだけど…
「あぁもうっ!ない!ない!棚とか籠とか探してみたけど全然見つからない!先生が言ってた段ボール箱とやらもないしな、というか、倉庫室ってこの間学校のお祭りで使ってた人形とか……うわ‼びっくりした、なんだ人形の頭か……いや、それはそれで…」そう、私は先生から頼まれたファイルを探すのにかれこれ30分ほどたっているのである。「普通、こんなところにファイルを置いたりするかな…」そんな風に愚痴を吐きながら作業をしていると、右側の棚の上にある小さなブックスタンドにちょうど文庫本くらいのアンティークな本が一冊あった。取り出してみることにした。通常の文庫本より少しずしっとした重さがあった。「へぇこういうのもあるんだ、そういえば昔お母さんがよく家でこういうアンティークなもの集めてたっけ、インテリアとして取り入れれば素敵になる!だとかなんとか…」昔、母にそんな話をされたな、と思いながらその本を眺めていた。こういった本は読んだことがないので、いったいどんなお話なのだろうか、少し読んでみようかなと思いページをめくろうとした、その時だった。
「ねえ、あなたここで何してるの?」
なにかがおかしい アザラシラッシー @yonaiyama003
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