呪われたレンズ:心霊写真家の恐怖
O.K
第1話:心霊レンズの呪い
吉田拓也はカメラが大好きな若い写真家だった。彼の部屋には大小様々なカメラとレンズが所狭しと並び、特にレンズには目がない。彼の収集癖は尋常ではなく、少しでも興味を引かれるものがあれば、たとえどれだけ高価でも手に入れることをためらわなかった。しかし、その彼が、ある日、フリマアプリで驚くほど安いカメラレンズを見つけた。
「この価格で本当に大丈夫なのか?」と疑いながらも、好奇心には勝てず、拓也は即座にそのレンズを購入した。数日後、手元に届いたそのレンズは、確かに見た目も使用感も新品同様だった。喜び勇んでカメラにセットし、早速近所の公園に出かけて撮影を始めた。
最初の数日は特に異変もなく、普通の写真が撮れた。しかし、ある日、夜の公園で撮影した写真を確認していると、奇妙なことに気づいた。写真の隅にぼんやりとした人影が映り込んでいたのだ。その影は次第にくっきりと見えるようになり、明らかに異常だった。拓也はその影が人間ではないことを直感した。
次の日も同じレンズで撮影を続けたが、再び心霊写真が現れた。しかも、今度は複数の影がはっきりと写り込んでいた。拓也は怖くなり、その写真を友人の美香に見せた。美香は心霊現象に詳しい人物だった。
「これ、やばいよ。すぐにお祓いとかしないとダメかも。」
美香の言葉に背筋が凍った拓也は、すぐにレンズをフリマアプリで売った人物に連絡を取った。しかし、その人物から返事はなかった。焦った拓也はさらに調べを進め、そのレンズの過去について調べ始めた。
調べていくうちに、そのレンズは元々、ある有名な写真家が所有していたもので、その写真家は謎の死を遂げていたということが分かった。さらに、その写真家が撮った写真の多くには、不気味な影や顔が写り込んでいたという噂があった。
恐怖に駆られた拓也は、心霊専門の寺にレンズを持ち込むことにした。寺の住職はレンズを見るなり、顔色を変えた。
「これは…非常に危険なものです。このレンズには多くの怨念が宿っている。」
住職はレンズを清め、最終的には供養することを約束してくれた。拓也はほっと胸をなでおろしたが、彼の心の中には、再びカメラを手に取ることへの恐れが残った。カメラとレンズの世界が彼にとって無邪気な趣味でなくなってしまったことに、深い悲しみを感じた。
それ以来、拓也はカメラを手に取ることなく、ただ思い出として部屋の片隅に置いた。それでも、ふとした瞬間に、レンズを通じて見た恐ろしい影が彼の脳裏をよぎることがあった。恐怖と共に彼の心に残るその影は、彼が二度とカメラを手にすることのないようにする呪いのようだった。
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