第10話 クラス委員長になろう!
「一時はどうなることかと思ったけど、これで丸く収まりそうね」
最後列窓際をゲットして落ち着いた
「ごめんね
岩田先生は申し訳なさそうな眼差しを当ててきた。
「あー、いえ」俺は頬をかいて、「問題無いですよ」
そう、と優しく微笑むと、岩田先生はすぐさま表情を教師のそれに引き締めた。
「さて気を取り直して、まずクラス委員長を決めちゃうから。誰か立候補する人――」
来たッ……!
俺は真っ先に手を挙げた。それは、教室でただ一つ挙げられた手だった。
「城ヶ崎……くん? あなたホントに立候補でいいの?」
岩田先生の問いに続くように、クラスメートたちが俺の顔をうかがう。
「はい。やります」
「なにかと面倒だから、誰もやりたがらないと思ったんだけど……」
「大丈夫です。やります」
さっきヒートアップして下がった印象を上げるには、これしかないのだ。
確かに委員長は面倒なことが多い。取り決めをする度にクラスの代表として仕切ったり、担任の雑用を手伝ったり、色々。
でもその分注目されるし、面倒な役を引き受けたことによって、さっき下がった皆の好感度も上がる。
そう、俺にとって委員長になることは、汚名返上&高校デビューへの第一歩に必要不可欠といっても過言ではないのだ。
と思ってたんだけど、
「おいおい」
「ああ、間違いない」
「あのヤンキー、委員長になって」
「だな、まずはこのクラスを制圧するって算段だぜ」
「えー?」
「恐〜い」
「でも反対したら……」
「間違いなく報復されるな」
「黙ってるしかないっていうの?」
等と、クラスの皆が誤解してヒソヒソ。
(え、えええええええええええ?)
いやそんな気は毛頭ないんですけど。どうしよう取り下げたほうが良いかな。
「あ、岩田先生、やっぱり辞退します!」
「ああダメよ城ヶ崎くん。自ら手を挙げて立候補して決まったんだから。もしやり直したいならその手をギロチンで切断するしか方法は無いわよ」
なにその残忍なシステム。
「じゃあ今度は女子のクラス委員長ね。女子で立候補する人、居る?」
岩田先生が募集をかけるが、なかなか手を挙げる者は出てこない。
(ぐぐぐぐ……。完全に裏目った……)
俺は両手で頭を抱えて、目を瞑った。
いや、まだだ……。もう一人の、女子の委員長と行動を共にしていく内に誤解は解けるはず。
そのパターンに賭けるしかない。
相手の女子『城ヶ崎くんって真面目なんだね! 最初はてっきり不良かと思ったよ』
俺『俺がそんな奴なワケないだろう? ハッハッハ☆(イケボ)』
相手の女子『良く見たら城ヶ崎くんってアイドルのKに似てるよね?』
俺『本当かい? ハッハ、まあ、俺が似てるんじゃなくて、彼が俺に似てるんじゃないかな?☆』
相手の女子『え~、なにそれ~? 面白~い。ねえみんな、城ヶ崎くんって面白いし良く見たらカッコイイよ~』
……とまあ多分こんな感じのやりとりになるだろ。そしてクラス中に俺の良い噂は広がり、誤解は解けるはず。
すると自然と友達は増え、ぐんと高校デビューへ近づく。
それしかない。
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