とある日の休日

雨人 水田

負けられない戦い

とある休日のこと───。

ふと声のするほうを見ると、テレビがついていた。

 『さぁ!もうすぐ決勝戦が始まります。これが最後の真剣勝負!勝つのはどっちだ!』と、アナウンサーが言って、出てきたんは和服を着た、わいと同い年くらいの黒髪のカッコええ兄ちゃんと、同じく和服を着たあたま良さそうな白髪混じりのじーさんやった。将棋かなにかの試合やろか。(歳が近そうとかいうしょーもない理由で)勝手に親近感を抱いたわいは黒髪の兄ちゃんを応援することにした。















「よろしくお願いします。」

互いにそう言い、対決が始まった───。

白、黒、白、黒…交互に、二人とも順調においていく。

 数時間後───。後一回で勝ち負けが決まる。んやけど、ここで詰まったのか?二人ともさっきまで順調だったのが嘘のように手が止まった。

(兄ちゃん、そこに白置いたれ!そしたらもう兄ちゃんの勝ちや。あぁ、そこはスパッと決められるやろ!)

しんと静まり返っていて、聞こえてくるのは、秒針の音だけ。五分くらい経ったやろうか。兄ちゃんが白を、じーさんが黒を、そこに置いた。

(コレは兄ちゃんの勝ちや。)

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