白と黒

 白い世界に、ポツンと1つ黒を落とす。

 黒はゆっくりと広がり、薄まりながらもしっかりと世界を濁していく。


 黒はどうしようもなく強いのだ。


 では、黒に白を落としてはどうか。

 残念ながら、黒はあっという間に白を飲み込んでしまう。

 黒はそれこそ光すらも飲み込んでしまうのだ。

 これはいけないと、

 何度も何度も落としてみるが、黒が白になることはない。

 頑張ってみたけれど、黒がすこぅし薄まる程度だった。


「ままならないなぁ…」


 僕はそう呟いて、カップの縁ギリギリまでになったカフェオレを、そっと口に運んだ。

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