ジンシンジコ

「ジンシンジコの影響で、ノボリ電車は運転を見合わせております」


 降り立った駅で、そんなアナウンスが流れていた。

 電光掲示板には、運転の再開は未定とある。


「ジンシンジコか。どのくらい見合わせるのかね」

「さぁ? せいぜい2、3日てところじゃないかしら」


 周囲の会話に、どうしたものかと考える。

 クダリ電車に乗っていれば、多少遠回りでも目的地に着くには着く。

 するとそこへ、クダリ電車が滑り込んできた。


「クダリ電車、急行ですー。お急ぎの方はコチラ」


 私は車掌さんに声をかける。


「転生駅まで行きたいのだけど、どちらが早いかしら?」

「そりゃーこのまま待っている方がいいですよ。

 クダリに乗ったら、目的地まで何千年とかかりますし、せっかくノボリ電車に乗れるのですから」


 頭から制帽を突き破るような立派な角を生やした赤い顔の車掌は、かかか、と明朗に笑った。

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