勇者になりたかったけど魔王の才能しかありません〜家庭教師を読んだら魔族側の側近でした〜

ピンシャン

第1話 プロローグ

 出逢えば、逃げる暇もなく殺されてしまうような魔物たちが彷徨い

荒事を生業とする冒険者たちからも恐れられていて、高ランクの冒険者でも

近寄ることのない<死の森>と呼ばれるそんな場所に二人の人物がいた。

 

一人は、太陽のようなオレンジ色の髪にまだ幼さが残る顔つきだが、

将来何人もの女性をとりこにするであろう少年、

 

もう一人は、燕尾服に身を包んだ、長身で、闇夜のような黒髪の細目の青年。

やはりこちらも何人もの女性をとりこにするであろう顔立ちだ。

両者とも、<死の森>とよばれる場所には似つかわしくない。

そんな彼らは、<死の森>の開けた場所で

「フン!!フン!!」

「そうです!その動きです!!!」

「ふおぉぉぉりゃぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーー」

「止め!!」

「っはあ...」

「流石です、短期間でここまで強くなるとは...

 流石は私の見込んだ才能...」

「う、うん、ありがとう...」

「この調子で行けば、あなたは誰にも負けない

 世界最強になれるでしょう。」

「はぁ...」

「そう、あなたならきっとなれる。世界最強の...........................魔王様に!!」

 魔王になる訓練をしていた。

 

正確にはオレンジ色の髪の少年、[アーサー・アウダクス]が

燕尾服に身を包んだ青年[フォルティシモ・コミタト]に

騙されて、魔王になるための訓練を捺せられていたのである。

そのことを少年が、知ったのは最近のことで

その時にはもう青年の指示に従うことしかできなくなっていたのであった。

しかし、少年はそれを認めていないようで

「いやですぅぅぅぅぅーーーー

 僕は勇者になりたいんですぅぅぅぅぅぅぅぅーーーーーー

 なんで人間の僕が魔王なんだよ?!?!

 おかしいだろぉ」

「何をおっしゃいますか。

 あなたは魔王になる才能『しか』ありませんよ。」

「うそだろ?どんな才能なの?それ?」

「もうすでに人間が手に入れられる範疇を超えた強さ...

 もはやバケモノ。つまりはほぼ魔族。

 結果、『魔王』そういうこと!!」

「どぉういうことぉ?」

「さぁ、この調子で更に強くなりましょう、そして目指せ!

 悪逆非道の魔王様!!!」

「家庭教師選び間違えた...誰か助k「【沈黙魔法】《サイレント》」

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・っ」

「危ない危ない・・・

 お披露目まで内緒にしないと。さあ特訓を続けますよ!

 24時間、逃げられませんよぉっ」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(い、いやだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ)」

というふうに、ちょっとした反抗しかできなく、したとしてもこのように

すぐ封じ込まれてしまう。

少年はすでに、人間の限界を超えた強さを得ているのだが、青年には勝てない。

なぜなら青年は、人間よりも遥かに高い身体能力、遥かに高い魔力量を誇る種族

『魔族』を束ねる『魔王』の側近であり、少年よりも遥かに格上の存在なのだ。

そんな存在に今日も少年は『勇者』を目指しながら悪逆非道の『魔王』になるための訓練を課せられているのである。










 



これは少年が世界最強の魔王になるかもしれない話。

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