第39話 世界一格好良い僕の愛機
11月3日、時刻は午前5時頃。夜明けには、まだ
僕、
友達から正直
───だけど今………。それ処じゃない興奮が目の前で、今や遅しと待ち構えているのだ。
ストマジッ! 誰が何と言おうが、お前は
右手側にある
高二の夏休みが終わり、ちょっと変わった
でも此奴は、そんな気持ちとは
キュルルルッ、ドドドドドッ………。
───す、凄い! もう
「───良い? 出発する前に再度伝えるよ。走り始めて
「………あ、嗚呼」
インカムから聴こえてくる颯希からの真剣なアドバイス。とても大切なことを言われてるのに、どうにも上の空となってしまう。
「もしはぐれても必ず私が
「………………」
僕の上の空状態が通じてしまったのだろうか。颯希の
「あ、最初の走り出し、くれぐれも慎重にアクセルを
───大丈夫、ちゃんと俺の耳には届いている。でもこれからの
「───
「───あ、う、うんっ」
初めて
「アハハッ!」
「な、何だよ突然……」
インカム越しでなくとも判る颯希の
「───ご、ごめんなさい。いや、疾斗もやっぱ男の子なんだなぁって思ってたら、何だか
「待て………初乗りの時、お前だって興奮しただろ?」
笑い過ぎだろ颯希姫、腹を押さえるのは幾ら何でもやり過ぎだ。それじゃまるで年越しのお笑い番組を視聴している様ではないか。
「ま、まあね……。か、可愛いなあ……ってね」
───可愛い!? 俺がっ?
「
俺は思わず口を
「さぁ、行くよっ!」
「
右ウインカーで発進の合図を出し、颯希のDU◇E125が
そして遂に県道へ
颯希
「うぉっ!?」
曲がりながら一気に
やはり何も守ってくれない
やがて目が慣れてくると次の恐怖は、後ろに詰めて来る自動車達だ。向こうも
そして実に寒々しい風を感じる。
つい全身が
出来得る限り左端を走り、早々に
やがて左側にやたら
「「ふぅ………」」
サイドスタンドを立てて駐車し、バイクから降りながらメットを
同じタイミングで溜息を吐く。───えっ? 互いに驚き目を合わせ、加えて思わず吹いてしまった。
「───な、何でバイク慣れしてる颯希が溜息なんだよ」
「いやだって、これはこれで気を
「そ、そっかそっか。そらあ悪うござんした!」
僕はぶっきらぼうに謝ってから再び
颯希から「せっかくだから少し入ろ」と
「処でどう?
此処まで言い掛けた颯希が口を
「な、何だ、何か聴きたいことあったんじゃないのか? さっきからずっと笑ってばかりだな」
「その顔見たら『大丈夫だ』って書いてあるから、聞くだけ
颯希はヤレヤレといった体で肩を
───そ、そんなに僕、浮かれているのか?
ゆっくりと薄明るさを帯びてきたガラス越しに映る
「───違いない、ニヤけ面が収まんないな」
心の声が勝手に口から
───そうだ、アレは誰のものでもない
誰が何と言おうが、何なら颯希が『可愛い』って
そんな僕の愛機が『おぃ、早く走ろぜ』とその
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