🏍カクヨムコン10応募作品・ Wind Geister 『風を纏った少女』日常の生活の中に非日常(小説家)は潜んでる
🗡🐺狼駄@ただ今ファウナ絶好調!
第1部『風の担い手』
第1話 オレンジ色の在り得ない"馬"
「よぅ、おっはよう! はやっちっ! ………何ぃ? 今日も
「………朝からテンション
夏休みが終わり今日から毛だるい二学期が幕を開ける。この朝っぱらから僕の背中を容赦なくバチーンッと叩いて、ウザってぇ
僕のことを勝手にマブダチだと思い込み、普段からこうして絡んでくる同級生の女子である。
───大体、このクソ暑苦しい残暑の
そう思う僕の名は『
戦国武将にかぶれた僕の親父が
けれど実在する高二の風祭 疾斗にそんなブーストスキルが存在する訳もなく、それ処か『素早さ 1』『攻撃力 1』。運動性能は、からっきしである。
「今日も寝ぼけた目ぇしてるねぇ………どうせまた深夜まで小説書いていたんでしょ?」
「………違う、
まあ確かに湿気た顔には違いないだろう。だけど深夜じゃない………
僕の否定を聞いた逢沢が、あからさまに呆れた顔で「やれやれ………何がそんな楽しんだか……」と明後日の方を向く。
───放っといてくれ、僕にはコレしかないんだから。僕の書くものを楽しみにしてくれてるあの子さえ居てくれたら。
この寝癖だらけのボサボサ頭も、ダセぇ黒縁眼鏡も、女子の逢沢より低身長ですら関係ない。だってあの子は、僕の
まあ確かに眠い………。しかも今日は始業式だけで帰れると思えば、踏み出す足にもやる気がまるで出ない。
何故
性格も明るく友達も多い。しかも同性から告られる程、比の打ち処がない女子だというのに………。
何でこんな
───正直言って、周りからの目が常に痛い………。
駐輪場の前を横切るいつもの
だからチラホラバイクも見かける。大抵はスクーター、そっちにまるで興味がないので全て同じ物にしか映らない。
だけど今日は、だいぶ違った。他のスクーターとはまるで異なるけたたましい排気音が背中から迫り、あっという間に僕等を追い抜く。
バイクのヘルメットに収まりきらない長い黒髪が、僕の嗅覚を変に
「
逢沢の言うことは至極もっともだ。危険、煩い、それに排気臭すらスクーターとはまるで異なる。
SNSのフォロワーでバイク好きがいて「あのオイルは良い匂いがする……」などと
そして降車すると自転車同士の隙間へ捻じ込むようにバイクを押し入れる。
「それにアレ本当に原付ぃ?
これも非難を声に載せた逢沢の指摘が正しい。原付………原動機付
だけど他の自転車やスクーターの脇に陣取ったオレンジが色濃いあの二輪車は、自転車とは住む世界が違う
………でも……だからこそなのか、バイクはおろか乗り物に興味を持ち得ない僕の
これまでの僕に取って、バイクなんて物は、どうも世界に
するとその得体が知れないモノから降りた生徒が、黒いヘルメットを被ったままヅカツカと此方へ迫ってくるではないか。
女生徒のブレザーという可愛げに
「……
「はぁっ!?」
その女子が僕と逢沢に向かって詰め寄り、メットの黒いバイザー越しに謎の言葉を叩きつける。
まるで要領を得ない僕達。声が出せない僕の代わりに逢沢が張り合ってみせる。
「聴こえなかったァッ!? このバイクは排気量125cc、要は
彼女はその
呆気に取られる僕等を
加えてバイザーで隠れていた
「
自分の口から勝手に飛び出た
僕の書いているファンタジー小説の登場人物、コレの
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