拳法の軌跡
将軍観察
第1話 始まり
ピカッ!ドゴーン!!!バリバリバリバリ!グラグラグラ……
大きなものすごい威力の稲妻が俺の村を襲った。一瞬の出来事だった目の前の母はすさまじい光の中に消え、家の遠くで何か作業をしていた祖父は俺の目の前から消えた。不幸にもその日は俺の村の誕生祭。家族みんな揃っていた。みんな…みんな…。周りの家の人たちの家族も帰ってきていて狙ったのではないかというくらい誰一人として欠けることはない完璧な祝祭だった。そこに大きな雷が襲った。雨も降っていなかったのに、なぜ。空から幅5メートル程にもなる大きな大きな稲妻が。それは一瞬に俺の村を焼き残ったのは俺と周りに残る電流だけだった。俺は電流とはなかよくはなりたくない。なぜなら俺からすべてを奪ったのだから。なのになぜ使える。
焼け野原になった俺の村に一人の人がやってきた。電流がまだ残り、普通の人なら入った途端感電死する。なのにこの人は平然と俺のほうに向かってきた。俺は泣き叫んだ。周りに誰もいなくなりなのになぜか俺が寝ていた乳母車だけが焼かれていない。その人はそっと俺を抱きかかえ、優しくぬくもりに満ちた表情で俺を連れ去った。そしてなぜかその人からは春の高原のような温かく優しい風のにおいがした。
ここはどこだ。連れてこられた場所は道場のようだった。床は黒色の木の板を使い歩きやすく、気温湿度ともに過ごしやすい。外には地面に大きな龍が描かれた円状の闘技場(?)があった。それは石でできておりここに投げ出されたら痛そうだ。俺はすでにこの部屋に連れてこられるころにはもう泣き止んでいた。その部屋の奥には4人の同じくらいの年齢だろうか。そのくらいの赤ん坊たちが寝させられていた。その顔はとても平和そうである。そこに私は寝させられた。まるで俺が来るのを望み、待っていたかのように俺が寝付くときれいな円形に乳母車が並ぶのだ。そのとき俺を連れてきた男性が安堵の声を漏らすように小さくこう言った。
「やっとそろった。私はこの子たちを必ず立派な子に育て上げ…」
そこからは聞き取れなかった。寝てしまったのだ。
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