第13話 VSロボット…お前ら集団で卑怯だぞ!

「ターゲットロックオン&FIRE」

 ロボット達は全員が私に向けてミサイルや銃弾を発射する。


 360度全ての方向から来る攻撃。


「悪魔の左手&神の右手…感度0倍」

 私は左手で目の前に迫る銃弾やミサイルを分解し、右手は自らに当てて攻撃を無効化した。


 爆風により私のゴスロリ服のロングスカートは燃えて、膝上くらいの短いスカートに変わる。


 両手は長袖なのに、スカートは短いというすこし不格好な姿に変わる。


「ムカつく…」

 ダメージは無い。右手の力で無効化したから…

 けど…お気に入りの服を燃やされるという、腹立たしい事になる。


「ダメージ無効…再度対象を攻撃します。」

 ロボットは機械音声で呟く。


「はぁ…壊すのが一番楽なんだけどなぁ…」

 私は呟く。


 実際に壊すのが一番手っ取り早いが、壊せば防衛システムの一部を弱くすることになってしまう。


 そう考えている間に3体程のロボットが一気に私に迫る。

 ビームサーベルでの挟み撃ちの攻撃。


「マジカル☆ステッキ」

 私は左手にステッキを手に取る。


 キィィィン

 ビームサーベルとマジカルステッキがぶつかり合う。

 一体、二体、三体と軽々と攻撃をいなしていく。


「はぁ…時間をかけるわけにもいかないし…」


 自動防衛ロボットオートボットと戦う上で、必ず注意しなければならないことがある。

 それは必ず短期決戦で相手を制圧すること…


 なぜなら…


「攻撃パターン考察。敵の行動より、次回行動パターンを100通り作成。」

 敵は自分の行動を観察し続ける。それによりAIが敵の行動予測、及び行動誘導を行う。


 つまり時間が経過するほど、こちらの行動はある程度相手にコントロールをされるようになる。


 ナンバーズNo.10の予言者ファティマとNo.7の選択者カグヤが作成の為に協力した防衛ロボット…


「先ずは一体倒して敵の行動パターンを狂わすか…」

 しょうがない。防衛システムとはいえ、本当にしょうがない。


 ロボット1体の損失は何億の損失にも繋がる。けれどやらなければ、こちらが救助の足止めをされる。


 とはいえ、私を囲うロボットは5体に増えて、上下左右の様々な場所から私を撹乱する。


 私はどのロボットを倒すべきか迷っていた。


「敵…動きなし。攻撃誘導の可能性あり。厳重注意を…」

 ロボットの一体が後ろから私にビームサーベルで攻撃しようとした。


 私は振り返りながらマジカルステッキで、ロボットを殴ろうとした。


「攻撃速度判断…回避に移行します。」

 ロボットの攻撃はフェイント…私に攻撃をするフリを行うだけで回避する。


「行動パターンより、敵行動の3割を演算理解。広範囲攻撃を警戒しつつ、銃撃にて応答。」


「鬱陶しい…」

 潰すやつが決まった。とりあえず状況を分析しているリーダー格のロボットだ。

 マジカルステッキを握りしめ、リーダー格の遠くから観測しているロボットを見る。


「行動理解。勝率8割。ここからはワタシがデマス。他二体近接援護、他遠距離援護ヲ。」

 リーダーらしきロボットが両手にビームサーベルを握る。二刀流だ。

 めっちゃ格好良い。


 私はすこしまばたきをした。その目を瞑り、開ける間にリーダー格のロボットは消えていた。


 リーダー格が一瞬のうちに私に近づき、私に攻撃を仕掛ける。


「排除…」


「させられると思う?」

 私はマジカルステッキを真上に放り投げた。


 行動パターンを敵にコントロールされるということ…

 それを予想外の行動でコントロールできなくすれば良い。


 そもそも私はマジカルステッキが無くても、両手があれば制圧が出来る。

 だって魔法少女だから…


「悪魔の左手」

 リーダー格の二刀のビームサーベルを瞬時に分解する。


「神の右手。感度1万倍。」

 ロボット本体に触れる。触れるだけだ。


 それだけでロボットは制圧出来るのだ。

「オーバーヒート…原因不明…原因不明…墜落危機…」


 ロボットの熱への感度をあげる。ロボット内部の温度を上昇させ、機械が故障したと誤認させる。


「敵の能力と判断。敵への接触は危険と判断。」


「制圧パターンD。勝利を確定させます。」

 その言葉を出した瞬間に、近接型のロボット4体がビームサーベルを持って近づいてきた。


 ということは残り3体は後方支援の銃撃のはずだ。だがロボットに視界を塞がれて、どこから銃撃をされるかが分からない。


「まぁいいや…全てを制圧すれば…」

 私はロボットを制圧するつもりで立ち向かう。空中であるため、地上より速度は出ない。

 だが敵が向かって来るなら、カウンターする速度があれば十分だ。


「まずは一体。」

 そう考えている間にも1体に触れて、敵を無力化する。


 が…何か手応えがない…そう…相手が全て計算していた化のように…


「捕縛弾…一斉掃射」

 アミ型の捕縛弾が制圧したロボットごと私を捕縛した。


 捕縛弾は一発だけではない。

 初弾で私を捕縛した挙げ句、何十…いや何百だろうか?それだけ厳重に捕縛しようとしてくる。


「悪魔の左手…」

 結局そんなものは私には無意味だ。捕縛用のアミにも簡単に穴を開ける。


 その前に、私の目の前で大爆発が起きる。

 先ほど私が無力化したロボットが自爆したのだ。

 私を密閉空間で焼き殺す為に…


 私は咄嗟に眼帯が燃えない様に手で覆った。流石にディザイアシードを見られるのはまずいからだ。


「一応は服は耐久性を高くしておいて良かったけど…」

 私のゴスロリ服は特注品だ。一応は防火性、耐電性の防御性能を持つ。


 なんとかあの爆発でも燃えてはいないようだった。


「もう…面倒臭くなってきたな…」

 面倒臭くなったのと、先ほど捕縛されて蒸し焼きにされかけた事で私の堪忍袋の尾は切れた。


「分解魔法・無限爆撃エンドレス・エクスプロージョン


「予測対応…シールド展開。」

 私は辺り一面を火の海に変えた。ロボットは予測してシールドを展開する。


「いつまで続くかなぁ?」

 シールドなんて予測済みだ。攻撃を防がれることは分かっている。



 爆発によって酸素は燃えて、二酸化炭素等の酸化物が発生する。

 だがそれさえも分解して更に酸素と炭素に分け続ける。


 つまり終わりのない爆撃が相手を攻撃し続けるのだ。

 この場の温度は百~千とどんどん上がっていく。


 相手にもシールドを展開するエネルギーは必要だ。爆発を続ける事でエネルギー切れを待つのもひとつの手段だろう。


 だが私の狙いはもうひとつの手段。熱はシールドでは完全に無効化できない。


 それが連続で続く事により、敵は自ら展開したシールドによって蒸し焼きにされる。

 最初は空調機能でなんとかしても、次第に空調も効かずにロボットの中のコンピューターの温度は演算ができないくらいに上がっていく。



 それによりロボット達はオーバーヒートによって制御不能となり墜落する。


 私が攻撃する動作を見せた瞬間に逃げなかった時点で、ロボットの敗北は決まっていたのだ。


「作戦成功…後続に繋ぐ事が出来た…」



 マイナスの気温の上空も、今の大爆発によって何百…いや何千度もの高温になっていた。

 もはや今環境破壊を行っている唯一の魔法少女と言っても過言ではない。


 けれど…まぁ…何とか防衛ロボットを破壊することなく無力化出来た。


「あとは街に向かって人を救わないと…」

 私が街に向かおうとしたときだった。


 ゴオォォォォォ


 何かが物凄い勢いで飛んでくる。だが私にはそれが見えない。


「マジカル☆ステッキ」

 とりあえず…私はマジカルステッキを構えた。


「ほう…我がステルス機に勘づくとは…厄介な敵だ。」


「あぁ…多分…真打ち登場か…」

 私はため息をついた。今日はあまりに運が悪いようだ。



 先ほどまでは自動迎撃システム。つまりは情報収集だ。


 確実に勝つための囮…


「くっくっく。災禍の元凶めが。ここから先はロイヤルナイツである僕・竜崎 シオンが相手だ!」


 ロイヤルナイツ…つまりは国や平和を護る騎士なのだが…

 ステルスで姿も見せないのは、騎士としては卑怯ではありませんか?


 あれ…ということは、私はシステムを乗っとりロボットを操っていた怪人に攻撃を受けたのではなく、迎撃システムに攻撃を受けていた…ってコト?

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