魔法のゴミ袋と自動販売機

O.K

第1話:最高のごみ袋

ある日のこと、私は家にゴミ袋がなくなってしまったことに気づいた。ゴミの日が迫っているので、急いでスーパーに買いに行くことにした。買い物リストにはいくつか他の必要なものも書かれていたが、特にゴミ袋が最優先だ。


スーパーに向かう途中、道端に小さな自動販売機が目に入った。その自動販売機は一見普通の飲み物やスナック菓子を売っているもののように見えたが、よく見るとゴミ袋が陳列されていた。「これは珍しい」と思い、私は近づいてみた。ゴミ袋の自動販売機なんて見たことがなかったので、興味津々だった。


自動販売機にはさまざまなサイズや種類のゴミ袋が並んでいた。大きなゴミ袋から小さなキッチン用のものまで、選び放題だった。私は普段使っているサイズのゴミ袋を選び、コインを投入して購入した。自動販売機からゴミ袋が出てきた瞬間、その新しさと便利さに少し感動した。


家に戻り、早速そのゴミ袋をゴミ箱にセットした。特に違和感もなく、普通のゴミ袋と同じように見えた。しかし、それから数日経ってもゴミ箱の中身がなかなか溜まらないことに気づいた。普段なら週末にはゴミ袋がいっぱいになり、新しいものに交換する必要があったが、このゴミ袋は不思議なほどゴミを入れてもスペースが空いているように見えた。


最初は気のせいかと思ったが、どうやらこのゴミ袋には何か特別な仕掛けがあるようだった。もしかしたら、特殊な素材でできていて、ゴミが圧縮されるのかもしれない。そう考えると、なぜかこのゴミ袋が他のゴミ袋よりも長持ちする理由がわかる気がした。


一週間が経ち、ゴミの日がやってきた。ゴミ袋はまだ半分も溜まっていなかったが、いつものようにゴミを出すことにした。ゴミ収集車が来て、私はそのゴミ袋を収集所に置いた。その時、同じようにゴミを出していた近所の人が、「そのゴミ袋、どこで買ったの?」と尋ねてきた。


「道端の自動販売機で買ったんです」と答えると、その人は驚いた顔をして、「あの自動販売機、特別なゴミ袋を売ってるって噂を聞いたことがあるけど、本当に便利なんですね」と言った。


その後、私はそのゴミ袋が特別なものであることを実感し、再び自動販売機を訪れることが増えた。他の買い物ついでに、ついついそのゴミ袋を買ってしまうようになった。


こうして、私の家ではゴミ袋がすぐに溜まらない不思議な現象が続いていた。何か魔法のような力が働いているのかもしれないが、そのおかげでゴミ出しの手間が減り、少しだけ生活が楽になった気がする。

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