【短編コラボ企画サイドストーリー】 『世界観台無し女人化転生』 〜ゲームキャラで異世界転生したのだが “異世界”と“転生体”とで『世界観』が違う!? 解せぬ!!〜

バゑサミコ酢

サイドストーリー?【桜田かける様—提供—】

これは。


のちに語り継がれるであろう、世界観台無しの少女2人と……周りの、摩訶不思議な物語を記した一冊の本。


———の中にある少女達の日常を記したページである。


しかしその話は噂が元になって形成されている。


この話が本当にあった話なのか。それとも人々の幻想が生んだ話なのかは当事者達しかわからないだろう。


——その本のタイトルは…….


『世界観台無し女人化転生』

〜ゲームキャラで異世界転生したのだが

“異世界”と“転生体”とで『世界観』が違う!? 解せぬ!!〜



作者の一言「どうかよしなに〜!」



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この世界は、〈剣と魔法のRPGゲーム〉の世界!


ドラゴンやら、ゴブリンやら魔法やら魔王やら、勇者やら魔道具などの男のロマンが詰まっている……そんな世界。


そんな世界にそのロマンとは違った……別の男のロマンがそこにはあった。


———いや、そこにいた。


魔法などとは真反対。『科学』の最先端がそこにはいた。


とある日。


「どうしたものか……」


俺こと、カエルムことカエは頭を悩ませていた。

それには、自分……そしてとある2人が関係していた。


まずは、アインという男。


出会ってから初っ端で告白してきたり、変態発言が止まらない変態野郎。確かにいいところもあるのだろう。ただ強いだけではあそこまでの人気にならない。イケメンってのもあるのかもしれないけど。


けれども私からしたら変態に変わりはないからできれば距離を置いて欲しい……。


そして同じパーティのレリア………リア。


あの変態と同じパーティの地m……す、すごい光魔法が得意な神官さん。


彼女もまた曲者であり、知識マニア。何でもかんでも知ろうとする。特に魔法に関しての獰猛さは本当におそしい……。なんて言ったってあのフィーシアに悲鳴を吐かせることに唯一成功した人だからな……。

危うく俺も危ないところだった。

そして自分……。


よくよく冷静になって考えてみると、竜が倒せたから良かったものの、もしあれで倒せないなんてことになっていたら……?


自分のゲーマー魂が、家族を危険に晒したということである。

それにアイン達に絡まれる原因にもなってしまった……。

そして、目の前には例の2人がいるのである。


幸い、フィーシアにはおつかいを頼んである。これでアイン達が変なことをしても物騒なことにはならないだろう……。


「それで?今回はどんなご用件で?」


俺は2人に用件を聞く。パーティ勧誘ならお断りなんですが。


「用件……はないわよ。ただ世間話でもしにきただけよ」


と、リ、リアは言った。そして続け様にリアが話す。


「まぁ色々とこの馬鹿アインがカエちゃんとフィーちゃんには迷惑をかけたからね……。命の恩人に悪いイメージを持たれっぱなしなのも後味悪いし、それを払拭するために世間話でもしにきたの」


その馬鹿アインは首を縦にブンブン振っている。おおかた、リアに喋るなと釘を刺されているのだろう。空気を読めず、変態発言をするこの男は喋らなきゃただのイケメンだ。喋らなきゃだけど。


「まぁ、用事もないし、いいですけど……ぁ!そうだ、リアに聞きたいことがあったんですよ」


そう俺は言って、くいくいっと手招きをする。


「?」


リアは当然頭にハテナを浮かべたように耳をこちらに近づける。

そして


「リアって、多分アインが好きだよね?」

「っっっっっっっっ!?!?!?!?!?!?!??!」

「そんな驚くこと?普通は気づくのでは?」

「いやいやいやいやそんなことはないないないない……」

「だったらずっと一緒にいるのっておかしいんだよね……」


恩…と言うのはそこのアインから聞いたけど、恩だけでそこまでするのかなぁ?と思ってしまった。風呂に入れてあげたときも、誘惑まがいのことをしていたし、そもそも口をひらけば誤解される発言をする変態だ。好きじゃなかったら普通は距離を少しは置くのではないだろうか?


と言う推理をリアに伝える。


「恩…それ以外に何もないよ!?」


リアが必死に弁明してくるも、


「そもそも、チラチラとアインのことをみてるのに気がついてるから」

「!?!?!?」


さらにリアの顔が赤くなる。

そうなのである。アインは気がついていないと思うが、チラチラっとアインの方をみたりしているのには気がついていた。今まで触れることはなかったけど。


「はいはいはいはいこの話終わり!」


強制的に終わらされてしまった。あと一歩だったのに……。


「しゃ、しゃべってもいいかな?」


このとき初めてアインが声を発した。


最初に少し詰まったのは、声を発した瞬間、ものすごい速度と形相でアインを睨みつけるリアがいた。

……いや、先程の自分のストレートがもろに当たっているからか、アインを直視できていない。目線が少しずれている。


「何?」


俺はアインに発言することを許可した。


「カエちゃんの剣を見せてもらうってことは……」

「無理」


流石にそれは無理だった。

どこから情報が流出するかわからない以上、これ以上の情報は渡せなかった。

と言うのも、この2人には戦斧【デストラクション】と、【帝国版-拾弐型戦刀 蒼氷月華】を見られてしまっている。武器の情報が流出するのは避けたいところ。

さらにメインシステム ダイヤモンドダスト も見られてしまっている。

いやまぁ、自分が使ったのが悪いんだけど………。


「どこから情報が流出するかわかりませんから。2人が超信頼に値する人物だと判断したらその時は見せてあげますよ」


……果たしてそんな日は来るのだろうか。


「フィーちゃんってどこにいるのかな?」


リアがキョロキョロしながら尋ねてきた。


「フィーならおつかいを頼んでます」


俺は淡々と答える。


「ねえ。この前の不思議な拠点でのカエちゃん達を見ていて思ったのだけれど」


リアが改まってどうしたのだろうか。一体なんだろうか。


「カエちゃんって……」


そして思いにもよらない、俺に刺さる一言が放たれた。


「———ダメ人間なの?」


「え?」


ちょっと待てどういうことだ!?


俺がダメ人間!?一体どんなところから!?

思いにもよらない攻撃を受けて俺は焦ってしまった。


「いや、身の回りのことを全部フィーちゃんに任せてたじゃない?だからフィーちゃんに依存してるダメ人間なのかなぁ……とね」


俺は何も言えなかった。


正直、自分の身の回りのことをフィーに任せっきりだった気がする。

フィーがなんでもやってくれるってことに甘えていたのかもしれない。


「ま、まぁ………ヒモってのも悪くは……ないんじゃない?」


申し訳なさそうに言うリア。


「いやいやヒモになる気はないから!!!!!!」


それから、自分がいくらダメ人間になりかけているのか、リアから説かれたのだった。





少し遡って、カエのもとへ2人が訪ねてきたのと同時刻の別所にて。


「お姉ちゃん何してるの?」


現在、マスターからの命令を遂行中の私だが、道中で少女に声をかけられてしまった。


武器を隠し持っている可能性、敵である可能性を演算したが、その可能性は1%にも満たない。

ただ、このまま無視して行進した場合、マスターに迷惑がかかってしまう可能性が高い。

———というのは、ミューリスが演算の基盤になっているからである。


(ミューリスのお願いを断った際に泣きじゃくられて人を集めてしまったことがある)


またあのようなことになってしまっては、マスターに迷惑がかかる。


「マスターからの命令を遂行中です」

「マスターって誰?そんな名前の人がいるの?」

「マスターはマスターです。簡単に言えば私のご主人様です」

「よくわかんないけど、その人はお姉ちゃんにとって大事な人なの?」

「ええもちろん」

「どんな人なの?」


少女からそんなことを聞かれた時、私の中でマスターへの愛が爆発してしまった。


「まずマスターは慈悲深い方なんです!虫たち(アイン達)にも食料を恵んであげるほどの慈悲深い方なのです!それから…………」


私は5分ほど、マスターへの愛を話した。


「お姉ちゃんみたいな人知ってるよ!お母さんから聞いたことある!」

「?」

「そういうの、『重い』って言うんだよ!嫌われやすい人って聞いたよ!」

「っっっっっっ!?」

「どこにでもついて行こうとしたり、たくさん嫉妬したりするのって重いんだって!……嫉妬ってなぁに?」

「そそそそそそんなことは………」


私はショックだった。


確かに、そう言われても仕方のようなことをしてしまっていた。

風呂での際や、顔を近づけた際、マスターは少しおどおどしていた。

もしかしてあの時から私は嫌われていたのだろうか?


暑苦しかったのだろうか?

(※そんなことはありません。メンタルが雑魚のカエが悪い)


「私も確かに、そう言う人って嫌かもなぁ……。なんか自由がないというかねぇ」

「どどどどうすればいいのでしょうか?」


マスターに嫌われたくない。嫌われたままでいたくない。


「私にはよくわからないけど、私だったらご機嫌を取るのが1番じゃないかなぁ?」


確かに一理ある。


好感度が低いのなら、マスターに嫌がられない程度に尽くして、好感度をあげればいい。いや、私がいなきゃいけなくなるほど、マスターを私に依存させればいいのでは?


「ありがとうございます。師匠」

「え?師匠?」


私は師匠とその少女を呼ぶことに決めた。


——彼女と師匠の特訓物語はあるのかもしれない。


「急いでマスターのところに行かないと」





そして、元に戻って…………





—カエ視点ー


「………少しフィー離れをしよう」


これ以上、ダメ人間だなんて言われたくはない。

すると、部屋の扉がバタンと開いた。


「マスター!1人より2人の方が効率的だと気づいたので、一緒に買い物にいきましょう!」


フィーだった。


「ああ別にそれなら……っ!」


まずい………このままだとフィーがいないとろくに買い物すらできない『ダメ人間』だと思われてしまう………。これ以上ダメ人間だなんて言われたくはない。


「い、いや。それなら私1人で行ってくるよ!フィーはここで休んでていいよっ!!!」

「いえ、マスターだけにさせるわけにはいきませんっ!」


なんで!?フィーがわがままを言った……?いや、俺に迷惑をかけたくないって言う気持ちからくるものなのかな?言ってて恥ずかしくなってきた。

——ゲームでのフィーシアがわがままを言うことはなかったが、魂?を持ったフィーシアに何か変化が生じているのは明確だった。


「まぁ、フィーはここでじっとしてて、私行ってくるから!」


俺は窓から外に出た。


「なら私もついていきます!」


フィーが俺の後をついてくる。


「なんでぇ!??!!??」


俺は全速力で走るが、フィーもそれに合わせて追いかけてくる。


「来なくていいからぁ!!!!!!!!」


「マスターまってください!!!!!!」


——その後、美少女2人が追いかけっこをしているという噂は、エル・ダルートで大いに話題になったのだった。


——その2人がお互いの胸の内を明かしたのは、その日の晩のことだった。


その時まで、追いかけっこをしていたのかは、当事者達しか知らない。



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