第1部

第1章

第1話 美少女誕生

私、涼谷紗英すずみやさえには彼氏がいる。優しくて、家事ができて、でも時々甘えてくる、そんなかっこよくもありかわいい彼氏。

さて、そんな彼氏が朝起きたら....

女の子になってました☆

...いやなんで!?脈絡無さすぎでしょ!ラノベとかでしか見たことないよこの状況。いや待て、落ち着くんだ私....オタクとして色んなラノベなどを通ってきた経験を思い出すんだ。

.....ひとまず状況を理解はできたけど現実じゃ有り得ないことが起きててちょっと興奮してきたかもしれない。彼氏の一大事なのに。

さて話を戻すと、朝起きたら彼氏であるるーくんこと、宮川瑠依みやかわるいが女の子になっていた。どうにか戻らないか、色々試してみた。キスしてみたり、ハグしてみたり、夢かもしれないから二度寝してみたり。もちろんなにも変化はなかった。そんな簡単に戻ったら苦労しないよねぇ。二度寝から覚めて今に至った私たちは今後について話し合っていた。

「戻る条件もわからないからね、今後一生このままというのも十分視野に入れた方が良さそう」

『今1番可能性が高いのは戻らない可能性だから、視野に入れるどころかそれを前提にして話を進めていった方が良いかもね』

私が口頭で話しているのに対して、るーくんは、スマホで文字を出して会話している。体が変化に追いついてないのか、まだ上手く声が出ないらしい。

『今更なんだけど』

「うん」

『....何か服貸して貰えたりしない?』

バタバタしてて忘れていたけど、るーくんずっとぶかぶかで着れてるかすら怪しい寝間着を着ていた。

春になってだいぶ暖かくなってきたとはいえ、はだけた状態に近い状態で過ごせば風邪をひくこと間違いないだろう。

「今持ってくるねっ!!!!」

私は大きな声でそう告げて自分の服が置いてある部屋に駆け出した。


とりあえず下着と丈が長いワンピースを渡して着替えてもらう。着替えを見られるのは恥ずかしいらしいので私は部屋の外で待機中です。

どんな姿になるのかな、と想像を膨らませているところでふと思う。

....るーくん、ブラの付け方わかるかな?

特殊な事情がなければ男性には無縁のものなのでちょっと心配である。しかし、その心配は杞憂で終わることとなった。着替えを渡してそう時間が経たないうちに、

『着替え終わったよ』というメッセージとともに部屋の扉が開いた。

「おー、おっ?」

下着をつけずに誤魔化してる線を読んでちょっと覗いてみたがちゃんと着けていた。ちなみに勝手に服の中まで覗いたので若干呆れたような目で見られました。ごめんね、下心はなかったんだ。ほんとだよ。

「にしてもるーくん...よく下着の付け方とかわかったね。特に上半身の」

『本気で言ってるの?紗英』

「えっ?」

『下着に手が届かないからってお願いされて代わりに着けてあげた人誰だと思ってるのさ』

.....あっ。全部思い出したわ。私ホックに手が届かなかったから、るーくんにお願いしてたわ。その経験がまさか役に立つとは....。いや普通は役に立つわけないんだよねその経験。

にしてもまあ....

「かわいいなぁ」

私は思わずその一言を零す。想像以上に可愛いんだから仕方ないよね。もちろん耳がいいるーくんがその言葉を聞き逃すはずがなく....顔を赤くしてベッドにうずくまっていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る