第57話 豚人間、悪魔が現れる ※神父視点
昼間から忌々しい悪魔と魔獣のせいで、酒を飲むスピードが早まっていく。
聖職者が酒を飲むのかって?
聖職者だって人間だからな。
「俺様を侮辱しやがって!」
あいつらは俺をオークだと言った。
それにブタや……脂まみれの加齢臭って。
魔獣のくせに生意気な奴らだ。
酒を一気に流し込む。
「痛ってててて」
上を向いたら腰がズキズキとする。
ここ最近腰が痛みだしたが、俺のスキルでは一向に良くはならない。
そもそもスキルを教授するか、簡単な傷を治すくらいしかできないからな。
腕をくっつけて欲しいとか、そんなことを俺ができるはずがない。
せめて止血くらいして、金をふんだんにもらうぐらいだ。
それも気づかない馬鹿達だから、一生平民なんだろう。
聖職者は貴族と同格だからな。
俺は酒を飲み終わるとベッドに横になる。
酔っ払って寝るのが一番の痛み止めになるからな。
「やっぱり横向きじゃないと腰が――」
仰向きでは腰が痛む。
だから横向きになった途端眠気が襲ってきた。
一瞬なにか黒い手のようなものが見えたが気のせいだろうか。
まぁ、痛みなく寝れるなら問題ない。
朝日の眩しさに目を覚ます。
「あー、今日は気分が良いな!」
目を覚ますとどこか体が軽くなったような気がした。
朝起きるといつも体が痛いのに、今日に限っては全く問題ない。
毎日神に祈っている証拠だろう。
いつものように着替えて神に祈りにいく。
「ああ、こんな良い日だ。悪魔達を追い払おう」
神が見守ってくれている日に、悪魔祓いをするのがちょうど良いだろう。
「おはようござい……」
他のやつらも神に祈りを捧げに来たのだろう。
振り返ると驚いた顔をしていた。
「あっ……」
あっ……?
「悪魔だあああああ!」
突然悪魔が現れたと思い、俺は周囲を警戒する。
教会に入ってくるくらいだから、上級の悪魔なんだろう。
実際に悪魔は存在するからな。
人の見た目をして、黒髪で肌も青黒く、歯だけが白くキラリとしている。
だが、そんなやつはいないし俺と目の前にいるやつだけだ。
だが、次々と起きてきた聖職者達には悪魔が見えているのだろう。
俺だけが見えない悪魔に戸惑う。
「悪魔はすぐさまここから立ち去れ!」
聖職者達は持っているポーションを投げた。
ポーションは俺の真上に投げられる。
俺の上空には悪魔なんていない。
それでもポーションは投げられ俺にかかる。
「どこに投げておる!」
ポーションがかかりベタベタになってしまった。
だが、他の聖職者達はポーションがダメだとわかると、メイスを持って近づいてきた。
「どうし――」
「悪魔は立ち去れ!」
みんなして俺をメイスで叩いてくる。
今日は神が味方した日じゃないのか?
なぜ俺がメイスで殴られるんだ?
俺は逃げるように教会から出ようとする。
ふと近くにあったガラスが目に入る。
キラリと光るガラスには黒髪の男が映っていた。
「あっ……悪魔だああああああ!」
驚いた俺はすぐに構えるが、ガラスの向こうにいる悪魔も構えていた。
俺は顔に触れ、皮膚の感触を確かめる。
髪の毛を掴むと、ガラスに映る男も髪を触っている。
「俺が悪魔だと……」
ガラスには黒髪になった俺の姿が映っていた。
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【あとがき】
やっとざまぁができました・:*+.\(( °ω° ))/.:+
ここまで読んでいただきありがとうございます!
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