第6話 光のフリーランスが怖い!
これは、仕事の休憩中に書いている。執筆の休憩に執筆すなと、自分でも思う。
僕は、フリーランスWebライター。略してフリーライターだ。
コロナ禍少し前から、フリーランス人口が増加していた時期があった。SNSフォロワーの多いフリーランスが、利点を語ったり素敵な生活を感じさせる写真や動画をアップしたり結構活発だったのも影響しているんだろう。
ただ、僕は「怖いなあ」と思っていた。
何が?
光のフリーランスが! 怖い!
僕は、Webライターが性に合っている。なぜかというと、基本的に単独行動だからだ。僕の仕事はWebなどで情報を集め、よりわかりやすい記事としてまとめ、検索してきた人に情報を伝えること。
打ち合わせは基本的にない。会議もない。人に会うことは滅多にない仕事をしている。
仕事のやり取りは、ChatWorkでのチャットのみだ。
そのうえ、僕は能動的に人に会おうとしない。まさに
素敵な生活? 丁寧な暮らし? ハハッなにそれ。
ところが、YouTubeやSNSなどで活発に活動しているフリーランスは、何やら違う。
多くの人と日常的に会い、「濃いメンツで飲んだ」などと内輪ネタで盛り上がり、YouTubeにはVlogをアップする。
僕もVlogをやろうとしてアクションカメラを買ってみたことがあるが、よくよく考えれば僕は仕事をしている最中、家に缶詰になるんだった。ひたすら文章を打ち続ける人間の姿をさらすことになる。
打鍵音ASMR動画かよ。
そういうわけで、やめた。
彼ら光のフリーランスは、どうしてそんなに素敵な暮らしができているのか。
「人に会う職種なんじゃね?」
それはそう。
ただ、自身のメディアを持たない僕と同じようなWebライターでも、YouTubeで素敵な暮らしという雰囲気の動画をアップすることがある。多くは女性だ。
オウンドメディアを持たないWebライターは、なぜか女性が多い。オウンドメディアを持つWebライターは、なぜか男性が多い気がする。なんでだろうね。
それはさておき、自分と同じような仕事をしている人でも積極的に人に会ったり仕事の日でもカフェに行ったり近所の散策をしたりしているのを見て、気付いたことがある。
彼ら彼女らは、ただただ光の側の人間なんだと。
僕は人間を陰陽で分けるのが好きじゃないが、便宜上光と影で分けさせてもらうと、彼ら彼女らは光の側だ。
仕事がなんであれ、積極的に人との出会いを求める性分なんだ。
忙しくとも、外に出て周辺散策したりカフェに行ったり外に出る趣味に打ち込んだりしなければいられない性分なんだ。
僕が執筆の休憩時間にこのような文章を書いているように、彼ら彼女らは休憩時間に外に出て人に会ったり素敵な暮らしを演出したりしているんだ。
そう気づいたとき、ちょっと怖くなった。
なぜ怖いのかは、わからない。
僕はコミュ障ではあるが、陰キャかというと微妙なところだ。陰キャ寄りではあるのだが、それはそれとして陽キャの人と一緒にうぇーい!できる。
友達にはコミュ障であることすら首を傾げられることがあるし、僕は別にザ・陰の者という性格ではない。人よりもネガティブなだけで、割と明るいところもある人間だと思う。
僕のエッセイを読んでいる人には、信じられないかもしれないけどね。なんかジメッとしがちだから。
日陰者が日向にいる人間を怖がるのは、なんとなくわかる。羨望もあるだろうし、妬みもあるだろうし、恐怖もあるだろう。
僕は「稼げてていいなあ」とは思うが、「丁寧な暮らししてて羨ましいなあ」とは思わない。その暮らしを支えている財力のほうを羨むだけだ。
じゃあ僕も積極的に外に出て人と会えばいいじゃないか。
そう思った時期もあった。
だけど、僕の活動範囲では出会いというものは限られる。そもそも、住んでいるのは兵庫県の田舎町だ。それなりの人口がある田舎町だとはいえ、都会と比べるとそもそも出会いの母数自体が少ないし、出会いの場も少ない。
それでも、一時期は地元のメディアを立ち上げているフリーランスの方々数名と交流を持ったこともあった。確かに楽しかった。
しかし、オウンドメディアを持つ人達の群れのなかに一人、メディアを持たない僕がいることに少なからず居心地の悪さを覚えていた。
結局のところ、自信なのかもしれない。
光を光たらしめるのは、自信なのかも。
オウンドメディアを持たずとも、丁寧な暮らしを継続できるほどに金があればそれが自信になるだろう。
オウンドメディアを立ち上げてそれで生活できていれば、全て自分で賄っているという自負になり、自信になるはずだ。
光を怖がらずに済むためには、メディアを持つための勉強をするほかないのかもしれない。
HTMLやらなんやらを学ぶか……!
ネットで学べるサービスもあるしな!
また、オウンドメディアを持たない僕のようなライターは、ただの使い捨ての駒だ。プロジェクトが終了すれば契約を打ち切られるし、クライアントに何かがあれば真っ先に契約を切られる側の人間。
それが、業務委託というものだ。
どのみち、そろそろ勉強をはじめないと、そのうちライターを続けられなくなるかもしれない。
鴻上ヒロは決意した。
メディアづくりを学ぼうと。
そのための技術習得が、急務なのかもしれない。
そして僕も光のフリーランスに……は、なれないだろうなあ。性分が違うもんなあ。
「まずはnoteからはじめなよ」
ここまで書いて、天から声が聞こえてくるようだが、僕はその声を一旦無視することにした。ま、また後で検討させて……。
ただ、noteはあれなんだよ。無料プランだとアナリティクス使えないうえに、有料プラン高いんだ。
ま! どのみちオウンドメディアは金がかかるからね!
始めるとしたらnote無料会員からかな! がっはっは!
「その前に、現在契約中のクライアント様方の仕事のスケジュール調整を頑張りなよ」
あっ、はい……。
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