第4話 高校時代、一番衝撃を受けた話(シモの話&BL注意報)
僕が通っていたのは、某兵庫県立の高校。別に隠していないから書いてもいいんだけど、一応ぼかしておこうと思う。総合学科というちょっと変わった学科に通っていた。
当時、僕は下校時に校門前で友達や当時の彼女と結構長時間駄弁るのが、お決まりになっていた。その後当時の彼女とは別々の方向に帰り、お互いに恋人のいる女友達を近くまで送りがてらお喋りをし、その女友達の最寄り駅の近くでまたお喋りを長時間するというのがルーティンのようになっていた。
いや、彼女と一緒に帰れよと思うものの、彼女は電車通学、僕は自転車通学だったから仕方がないね。
ちなみに、その女友達とは今も遊んだり飲んだりしている。年一くらいで。その女友達が結婚した後も遊んでくれているんだから、本当にありがたい。
まあ、そんな当時、校門でいつものように駄弁っていると、ある話が舞い込んだんだ。
号外号外! と言わんばかりに駆け寄ってきた同級生男子。血相を変えるとはこのことを指して言ったのではないかというくらい、その言葉がピッタリ当てはまる顔をしていた。
「どうしたん?」と聞く暇もなく、彼が口を開く。
「◯学(近くの別の高校)の屋上で男子同士がアレして抜けなくなって救急車で運ばれた!」
目が点になった。
その学校は元々男子校。共学化したのが2012年だから、僕が高校生だった頃に共学化したことになるのかな。多分。自信ないけど。
男子校では同性愛が割とよくある話だと聞いたことはあったけど、こんな話は聞いたことがなかった。
フィクションか? というくらいに衝撃的だった。
まず、屋上に入れるというのが僕にとってはフィクションだった。中学時代、「けいおん!」など各アニメを見て、高校の屋上というものに憧れたものの、いざ進学すると入れなくてがっかりしたからね。
いや、違う、そこじゃない。
「抜けなくなった!? まじ?」
「まじまじ! 担架で運ばれるの見たで!」
「見たのぉ!?」
一体どんな格好で運ばれていったのか。彼らの心境を思うと、すごく複雑な気持ちになった。当時の僕は男性が苦手だと公言していた彼女の手前、下ネタにはあまり参加しようとしなかったし、女子がかわいいかわいいしてくれるから下ネタは言わないほうがいいと思っていた。
イメージを守ろうみたいな心が、僕のなかにあったんだ。
ただ、本当は下ネタ大好きな人間だったから、興味津々になってしまった。
幸い、その場に彼女はいなかったし。
男子連中よりもむしろ女子のほうが興味津々なくらいだったから、安心して話に乗れた。
僕は当時から、同性愛というものに対して偏見があまりなかった。腐女子が周りに大勢いたし、高校一年の頃に仲の良い腐女子に「◯◯くん腐女子の間でネタにされてるで」と報告を受けていたことだし。
いや、生モノで妄想してるのを本人に言うなよとは思ったけど。
周囲の男子はちょっと引き気味だったけど、僕は女子に混ざって詳しく話を聞いた。
ところが、最初の言葉以上の情報は何もなかった。
その後、彼らは無事だったんだろうか。
この話は、兵庫県の心霊スポットを語る某掲示板のスレッドでも話題になっていたくらい、広まってしまった。
本当にいたたまれない。
いや、心霊スポットについて語れよ。なんでそのスレでこの話が出てくるんだよ。おかしいだろ。確かに想像するとヒュッてなるけども。
冒頭で僕が通っていた学校名をぼかしたのも、彼らへの一応の配慮だ。
もう十年以上前の話だけど。
それにしても……抜けなくなるなんてこと、あるんだね。
ローション使わなかったのかな。学校だしなあ、使わなかったのかなあ。
救急車が出動するほどの事態になったということは、縮まりもしなかったんだろうか。縮まってもなお、抜けなかったんだろうか。
今でもたまに思い出して、気になってしまう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます