いつも通り宝石を壊していたら、変な後輩ができた件について
真白いろは
アンバー
日向水
「はぁ…はぁ…はぁ…!」
息を切らして路地を駆ける。後ろからはパタパタした足音もしない。
後ろには巨大な蛇がいた。白く硬いウロコと
軽く横に走る。勢いを殺せなかった蛇はそのまま壁に突っ込んだ。すぐさま跳んで蛇の背へ。
いける…!
自身の
ふわふわとした、なんとも言い難い空間に漂う、宝石のような何か。それを握って、力を込める。パリンと音がして、宝石は握りつぶされた。
そして目を開けると、蛇は息絶えていた。内側から攻撃したので、外傷はない。
こいつはただ赤いだけだったな、と思って降り、伸びをした。
仕事完了。お疲れ様でした。
連絡して、今日は帰ることにした。
ここはただの現代社会。と言っても、
人間はどうやら美味しいらしい。特に15歳から18歳くらいの女子は格別に美味いらしい。俺も17だが男子なので、上から2番目か3番目くらいの美味さってわけだ。2番目は20くらいの女なのかな。うーん、分かんない。
俺は、そんな暴走し出す奴らを殺してまわっている、いわば人間の味方。だが雇われているので、もちろん給料もある。
他にも仕事はあるのだが、これが一番、給料がいいんだよなぁ。
宝石を握り潰せば、心臓を刺さずとも綺麗に死ねる。宝石を潰す能力は人間にしかないので、需要はあるけど供給が少ないのだ。だから給料が良い。宝石は全員潰せるが、それを職にするには少々練習が必要となる。初心者だと、潰せる時と潰せない時が出てしまうのだ。いつでも潰せるようになったら雇ってもらえる。ちなみに俺は5歳から練習し出したので、8歳になる頃には給料がもらえるようになった。
少し歩くと、明るい場所にたどり着く。商店街だ。今は屋台が並ぶ夏祭り状態になっているけど。ここで毎日食材やらなんやらを買っている。
赤やオレンジに煌めく
ふと美味そうな匂いがして、チラリと見ると、焼き鳥屋・
「タレ、1本。」
「ああ、コウか!」
竜の大将も『何か』だ。そのままの意味で枯れ枝の体なのに、声はやたらと元気で、シワも増えてきたのにいまだに元気に過ごしている。この間はウエイトリフティングを行なっていた。ちなみに竜の由来は、大将が子供の時の夢が「竜になること」だったからだ。
「仕事帰りか?」
「まあ、そんなとこ。」
「背、伸びたな〜もう少しで俺越せるんじゃないか?なーんつって!人間に俺は越せねえよ。」
「だろうね。身長2メートルくらいは余裕であるもんね。俺なんてまだ170センチいったかな…?くらいだよ。」
「ほら、おまけでもう一本つけてやるから、さっさとデカくなれよ?」
「ありがと。じゃあね。」
「おう!また来いよ!」
かぶりつくと、やっぱり美味しい。少し甘めのタレがよく肉に絡み付いている。美味いな。
こーゆーサービスがあるから、あそこの店は良いんだよな〜。
すぐに一本目を食べ終わり、2本目を食べ始めたとき。ザラザラ感を横道から感じて、覗き込んだ。暴走したか?それなら安全と給料のために向かわねばならない。一気に2本目を食って、見てみることにした。
覗いてみると、少し細い道に女が立っていた。俺と同じ人間。月の下で艶やかな黒髪が靡いている。
多分年齢は俺と同じくらい。何かを真っ直ぐ直視している。視線の先は…あ、やっぱり食おうとしてるやつだ。
「ほしい…。にんげんほしい…!」
あ、うん。完璧に食おうとしてる。白い頭巾を被った少女が衝動を堪えられずにいる。
きゃああああ!と叫びながら少女が走った。頭巾が取れる。口が耳元まで裂け、とんでもない笑顔だ。喉から手が出るほど黒髪の女を食べたいのだろう。まあ確かに今、あの女は食べ頃真っ盛り。相当美味しそうなんだろう。
だが、それを黒髪の女は許さなかった。力一杯、持っていたバールを振り下ろす。少女は
こてんと少女は脱力した。結局食べられなかったまま、落命した。
嫌なもの見た。何回も見ているとは言え、流石に見たいとは思わない。再び商店街に戻り、夕飯を探した。
ふと浮かんだのは黒髪の女。あいつ…誰なんだろう…。
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