第41話 脱兎の如く

部屋に戻ったピットたちに来客が訪れた。


「ピット様、陳平です、宜しいでしょうか?」


さっそくピットたちはドアの前に行くと、陳平と太兵衛と剣舞を舞った熊が一礼する。


「ピット様、先ほどは失礼いたしました」


「太兵衛殿。先程は失礼した」


構える太兵衛に熊は謝る。


「私は大王の叔父、射陽侯です」

「実は私、昔留侯殿に命を救われたことがございまして」

「留侯殿から、今回の剣舞の依頼を受けて舞わせて頂きました」

「今回は亜父より、剣舞に乗じてピット王を殺せと名を受けておりました」

「それで私は殺気を飛ばし、太兵衛殿に防いでいただきました」


叔父は演技とはいえ、ピットに殺気を飛ばしたことを詫びた。


「射陽侯殿、貴方のお陰で私は命拾いできました」


ピットは心からお礼を言う。


「どうか気になさらず」

「それよりも、亜父がこれ位の事で王の暗殺をあきらめるとは思えません」

「とにかく、いますぐにこの地を発ってください」


射陽侯はそう話すと割符を渡す。


それと、1人の男を共につける。


「この者は砦に着いたらお使いください、必ず役に立ちます」


射陽侯が話し終えると、陳平が手紙を渡す。


「この手紙には、領地に戻られてから読んでください」

「それでは急いで出立を!」


話も終わり、ピットたちは脱兎の如く咸陽から逃げ出した。

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