第31話 奇才の士・陳平
宴席には、豪華な料理が並んでいる。
「おいしいです!こんな食べ物始めて頂きました!」
「この『ソース』なるものをザリガニに掛けるとこんなにもおいしくなるのですね」
「食べるだけでなく、入れ物も美しい」
「食べ物と一緒に入っている花は綺麗です。少し苦いですが」
使者たちは興奮気味に夕食を楽しんでいた。
食事が終わると、隣の休憩室に移り、疲れていた使者たちはそのまま眠り込んでしまう。
「使者様、起きてください」
使用人の女性が狐を揺り起こす。
「我が主、と軍師様がお待ちです」
はっと目を覚ました狐は、使用人に連れられて、再び迎賓室を訪れる。
中では先ほどと同じように、2人が待っていた。
「それで…私たちに話したいこととは?」
狐は驚いた。
「あのビワも、使者殿が自分で用意されたものでしょう?」
「ビワの花言葉は『密かな告白』」
「何か私たちに伝えたいことがあるのではと思いまして」
この軍師にはすべてお見通しだな
狐は話始める。
「お察しのとおり、私は従者達の居ない席で個人的にお会いできればと考えておりました」
「先ほども申しました通り、私は大王に信用されておりません、いや、むしろ嫌われております」
「このまま戻れば、今回の件はうまく乗り越えられても、次々と難題を吹っ掛けられて、いつか殺されてしまうでしょう」
「そうなる前に、私は自信の身の安全を」
「そしてなにより、私の才能を評価してくれる主のもとで働きたいのです!」
「ラビット村の主様、この度は使者として伺っておりますので、そのまま戻らせて頂きます」
「もし可能でしたら、後日配下になることをお許しくださいませ」
狐は席から降り、跪き、拱手の姿勢をとる。
「ピット様、この者を信じますか?」
「孔明はどう思う?」
「この者が申しておる言葉は本当でございましょう」
「私は配下にすることをお勧めします」
「わかった」
2人は話すと、人の姿に変化する。
驚いてみている狐に、孔明は近づき話しかける。
「今から進化を行う」
そう話すと、狐は光だし、背の高いイケメン男がそこに現れた。
「
我が君、私を家臣にして頂きましてありがとうございます」
「私の名は陳平、知略には自信がございますのでよろしくお願いします」
孔明は彼のことを話した。
「この者は、前世の漢の国で丞相を務めていたものです」
「才多く、謀略に長けております。必ず君のお役に立つことでしょう」
さらに孔明は話を続ける。
「そして、レッドキャップの前世もわかりました」
「はい、私も誰だか思い出しました」
孔明と陳平は共に言い当てる。
「「かの者の名は項羽」」
「前世で『秦』を滅ぼし、自らを『西楚ノ覇王』と名乗ったものでございます」
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