第14話 ゴブリンが村にやってきた
8日後、官兵衛が話した通りゴブリンの使者が訪れる。
来たのはやたらと着飾りしたシャーマンゴブリン1体と、ホブゴブリン4体だった。
官兵衛以下、皆昆虫や小動物の姿となって対応し始める。
「ハハァ、シシャノミナサマ、オマチシテ、オリマシタ」
カマキリになった官兵衛は片言で話す。
「ワレワレハ、ミナサマガクル、ノヲ、イマカ、イマカト、オマチシテ、オリマシタ」
「ワレワレハ、ナインテール、ヘノ、ミツギモノデ、クルシメラレテ、オリマス、ドウカ、ワレラヲ、スクッテ、クダサイ」
官兵衛が嘘とおだてを織り交ぜてゴブリンたちと会話を進める。
「ほう、最初から我々に恭順するとはなかなかに良いことだ」
「お前ら虫けらたちにも我が王レッドキャップ様は寛大なお心をお持ちだ」
「お前たちが普通に暮らせるよう取り計らってやるので、協力を惜しむなよ?」
高圧的に話すシャーマンに、官兵衛たち重臣は頭を下げて、礼を言った。
「アスニハ、ミナサマガ、チュウトンデキマス、ジュンビガ、トトノイマスノデ、コチラヲ、モッテ、ジンチデ、ヲオタノシミクダサイ」
そう言うと、ミツバチたちがたくさんの料理と飲み物を荷車に乗せて運んできた。
「アスハ、セイダイナ、ウタゲヲ、ゴヨウイイ、タシマスノデ、キョウイチニチ、ダケ、オマチクダサイ」
「これは素晴らしい!お前たちこんな食い物も作れるのか!」
「よし、虫ども!すべて我々の陣に運ぶのだ!」
ご機嫌な態度で使者は虫たちに命令する。
「デハ、アス、モンヲ、ヒライテ、マッテオリマス」
フン!と鼻を鳴らしたゴブリンたちはそのまま来た道を帰っていった。
1㎞ほど離れた敵陣地に、ハチたちは荷車を届けた後、領域へ戻り、人に戻った官兵衛と打ち合わせをしていた。
深夜、貢物の食糧で宴を開いたゴブリンたちは、寝静まっていた。
突然、土の中から黒服の人間たちが飛び出し、シャーマンが眠るテントへと向かう。
完全に寝入っていたシャーマンたち4名は一瞬で殺されてしまう。
その瞬間、シャーマンが陣地に掛けていた闇の障壁魔法は解け、外で待機していた清正たちが静かに突撃し、音もなくゴブリンたちを殺しまくっていく。
全体数が半分くらいになった頃、眠りから覚めたゴブリンロードが叫ぶ!
「おい!おまえら!なにをやっている!」
「敵襲だよ!」
王の後ろでそう静かに言い放ったボウイは、自慢のバトルアックスでロードの首を刎ね飛ばした。
王の死に気づき大混乱に陥るゴブリンたち。
いったい何が起きているのかわからないうちに、次々と討ち取られ、30分もしないうちにすべてのゴブリンが動かなくなった。
その場で報告を受けた官兵衛は、急いで撤退の準備を始める。
すべての死体と荷物を荷車に乗せ、夜が明けるころには元の更地に戻っていた。
レッドキャップ率いる2000のゴブリン部隊は一夜にして消滅したのである。
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