第22話③シーズン最終戦

試合後、髙橋は徹たちを探した。


ちょうど車イスを悟、優希、康太3人で押しながら帰ろうとしている徹を出口付近で見つけた。


「とおる!」


髙橋の声で徹たちは立ち止まった。


「とおるお兄ちゃん!」


嬉しそうな顔で振り返り手を振る徹たちのもとに、髙橋は駆け寄った。


「今日はごめんな。

わざわざ来てもらったのに負けちゃって」


「なんで謝るの?

僕分からないんだけど、負けはダメなことなの?

恥ずかしいことなの?」


「やっぱりせっかく応援に来てもらったから、勝つところを見て欲しいよ」


「それはとおるお兄ちゃんの気持ちでしょ?

僕たちは勝ったら嬉しいのかも知れないけど、勝つから応援するんじゃないよ」


「えっ」


「僕たちは自分が好きな人たちが頑張っている姿を見て、勝手に勇気をもらってるんだよ。

そのお礼が応援かな」

徹の話に悟、優希、康太は頷いた。


「僕たちはラグビーできなくなっても、レフリーで頑張るとおるお兄ちゃんを見て、僕はまた入院しなきゃいけないんだけど、元気をもらえたんだよ。お兄ちゃんありがとう!」

悟は言った。


「それに負けがダメなことだったら楽しくなくなっちゃうよ」

徹は言った。


「楽しくない?」



「うん。だって負けがダメだったら絶対に勝てる相手としか戦わないから、自分も強くなれないよね。

あっ!そもそも相手がいないから試合がなくなっちゃうね!」

明るく笑う徹だった。


「そっか、、、そうだな。

負けは今の自分たちの力が分かっただけだな。

謝ることじゃないな。

徹ありがとうな。また試合に来てくれるか?」


「もちろん!」


徹たちとハイタッチをして別れた。


いつも徹には教えられ、勇気をもらっていることに苦笑いしながら髙橋は片付けを始めた。

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