第3話⑤秋野太
会場に秋野の家族がやってきた。
秋野は約束を守って家族と一緒に来てくれた。
秋野の妻の美幸は4人の子供を連れてタックル体験に立ち寄った。
桜庭が子供達にタックル体験してみる?
と声をかけたところ、恥ずかしがってなかなか参加しなかった。
急に美幸が手をあげて、
「ママやろうかな。大人でもいいですか?」
と明るい笑顔で桜庭に聞いた。
「もちろん」
と答え桜庭がタックルバッグを持つと、試合前なのに家族が気になり会場を歩いていた秋野が桜庭からタックルバッグを取り、手にかけた。
秋野が美幸に笑いながら「かかってこい」
という仕草をすると、
「高校からずっとパパのラグビー見ていたんだから、覚悟してね」
と美幸は言い、
秋野に向かって走った。
美幸のタックルでは全く動じず、秋野は
「ハイタックルだな」と笑った。
美幸は
「もう一度!」
と言い、
秋野に向かって走った。
秋野の腰の辺りに抱きつくような姿勢から、
太ももを引き寄せた。
秋野は大袈裟にバランスを崩したふりをして、2人でタックルマットに倒れ込んだ。
そのまま2人で大笑いしているのを見て、近くにいた桜庭は、
「秋野さんだらしないですね」
と手を叩いて笑いながらからかった。
子供達も口々に「パパを倒す!」
と言いながらタックルを始めた。
頃合いを見て桜庭は
「さあ次はお兄ちゃんが相手だ」
と言い、
秋野が試合に向けて集中できるようにした。
秋野の子供たちを始めたくさんの人がタックル体験をしていると、気がつけばキックオフの時間が近づいていた。
美幸は子供達に
「さあ、パパの試合見に行こう」
と声をかけたが、
「まだタックルする」
と言い子供達は動かないので困っていた。
それを見た桜庭は
「あっちでジュースもらえるから、
もらって座って飲みながら見ようか」と、
声をかけると子供達はあっさりその場を離れた。
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