第3話③秋野太
田﨑は第二資材調達部の前まで来たものの、
どうして良いか分からずうろついていると、
「田﨑、うちに何か用か?」
振り返ると秋野が立っていた。
「人事として来ました」
という田﨑に、
笑いながら秋野は打ち合わせスペースを案内した。
「秋野さん最近仕事すごく忙しいんじゃないですか」
単刀直入に聞く田﨑に対して、
苦笑いしながら秋野は、
「急にどうした?
確かに部署異動とか定年とかでベテランがたくさんいなくなっているから忙しいかな。新人達は頑張っている分、早く成長させてやりたくて、育てる時間も多くなっているかな」
急に田﨑は立ち上がり、
「それなら、、、
人事が持っている外部研修のプログラム持ってきます。新人さんの教育に使えるものがたくさんあります。使って下さい。」
複数の外部の研修会社と提携し、800もの研修が社員であれば受講できる仕組みがある。
「あと、今人事が力を入れている、ジョブチャレンジ制度の概要も持ってきます」
一気に話す田﨑に、秋野は驚いたようだ。
育成時間を減らし、新規人材を補填することでゆっくりだが秋野の負担を軽減できると考えた。
「あと、次の横浜大学との練習試合にはご家族にも来てもらって下さい。
お子様向けのラグビー体験もその日にやりますから。約束ですよ」
と、秋野に話す暇を与えず、
「じゃあ後で資料お届けしますから」
と一方的に田﨑は話して、会釈をして第二資材調達部を後にした。
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