第6話 知らないうちに天下取ってたし
――――――午後のティータイム、例の茶室。
「やっと帰ってきたの?
調査……とは言えすぐに帰ってくると思いきや、
さすがにヒョウカちゃんに心配だと相談したら、『いやいや、長に限ってあり得ない……あぁ……お父さんお母さんお兄ちゃんたちに確実に怒られるぅ……』と嘆いていた。
「ちぃと時間かかっちまってなぁ……コイツらにも勧められて、雉高以外も、この辺り一帯シメてきたから」
「はぁっ!?」
何やってんの、だからこんなにかかったのかよ。そしてえらくスピーディーに制覇してんなこの辺り一帯をぉっ!!
お金持ち校とは言え、同じ市の中にも一般の市立校とかもあるし、工業高校とかもあったはず……。
電車で巡るには少々手間がかかるし……まさか車出してないわよね!?
私たちは今朝は電車通学だったけど!因みにそれは
まぁ私は……わけあって電車だけども。
――――――とは言えだな。
私は
そして舎弟たちが嬉々として口を開く。
「
「バッサバッサと敵をなぎ倒し、そして見事に手中におさめたアニキさすがです!」
「きっとあの河原の鬼もアニキにはかなうまい!」
ダメだ。コイツら完全に
「で……?あんたたちはちゃんと授業受けたんでしょうね」
『ギクッ』
コイツらも
「ふ……っ。コイツらには俺の勇姿をその目に焼き付けさせたかんな」
カッコつけんな
「しかし……河原の鬼、いなかったな。一応河原にも寄ったんだよ」
「え……?河原まで寄ってきたの?てか、普通に学校じゃないの?」
そんな都合よく河原に入り浸ってるわけないし。もしかしたら河原の鬼も、普段は
「まぁ、いなかったもんは仕方がねぇ。それは今度にしようってんで戻って来たんだ。河原の鬼みたいな危険なやつを放置して、
「それはそうねぇ」
そしてこんなんで…も
「そう言えばアニキ、雉高のやつらとは知り合いだったんすか?あの荒くれもんたちがアニキの顔見るなりおそれおののいてましたけど」
どんな荒くれもんなのかも気になるところだけれど、
「あん?そりゃぁ前に……」
何かあったのかしら……?
「うちの
まさかの
「まぁ
……しかし、
そう思っていれば、ふと、
「ふ……っ。だから河原に呼び出してシメてやったんだよ。ありゃぁ
「え……河原に呼び出し……?」
「狩られたのって雉高のやつら……」
「去年の秋ぃっ!?」
舎弟たちが驚愕するのも致し方がない。しかし証拠は出揃ってしまっているわけである。
答えは……ただひとつ。
「河原の鬼って……あんたじゃない」
ほんとに地味眼鏡真面目な優等生に紛れ込んでたし……!日中学校に行ってるってのもあながち間違いではなかった……!
「あぁー、俺か。通りで会えないわけだぁ」
クツクツと嗤う
「……にしても、鬼ねぇ……?」
ニタァッと笑む
いや私も高校生だし昨晩見たけど……!
『ヒィッ』
もう本当にビビっちゃってるじゃないの。
「ちょっとあんたねぇ、公序良俗守りなさいよ!?相手はけなげでいたいけな高校生なんだから!」
もちろん私もですけど……!
「けなげ……?いたいけ……?」
「きょ……今日はあんたの弾丸ツアーに同行しちゃったけど……普段はちゃんと制服崩さないで着る!授業ちゃんと受ける!ゲーセン行くなら制服から着替えろ!むしろちゃんと家に帰ってお勉強……!!そもそもあんたら疑われてんのよ!?目撃者なのに
『ひいぃ、分かりました
「よし!ほかの連中にも伝えること……!」
「イエス
「やっぱり
「ひいぃ補習~~っ!」
大急ぎで茶室を飛び出して行く舎弟たち。まぁ彼らが真面目に授業を受けるようになるなら一安心だけど……。
「私はどうあっても
何故かそこだけはどうあっても覆らない気がした。
「そう言えば
まぁ情報収集に関してはくのいちのお姉さんたちや
ランチタイムではヒョウカちゃんと一緒にしっかりとラブロマンスを追っかけるための情報交換をしてましたとも……!昨日の
――――――とは言え。真相をたぐる方は
「あぁ、それな――――。面白いことが分かってなぁ……」
ニタリと
外からドタドタと足音が近付いてくるのが分かった。舎弟たちかしら……?何かあったの……?
そしてバァンッと開かれた茶室の扉の向こうには……。
「げ……っ」
河原の鬼
「
そこには普段の温厚そうな雰囲気とはまるでかけはなれた、怒りの形相の
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