第3話 孤独な戦士

 悠斗はアルカディアの森での生活に慣れ、多くの友人もできたが、彼の心には常に孤独があった。彼は自分の存在意義と、この世界での役割を見出せずにいた。そんなある日、彼はとある遺跡に足を運んだ。


 遺跡の古い石壁に囲まれ、彼の前には、古代の呪文が刻まれた祭壇があった。


 悠斗は遺跡の中央に立ち、祭壇の前で剣を構えていた。彼の目は、暗闇から現れた魔物の巨大な影に釘付けになる。魔物はゆっくりとその巨体を動かし、悠斗に向かって進んできた。その足音は、遺跡全体に響き渡る重低音だった。


「この振動は...まさか、封印されし魔物か?」


 悠斗は祭壇の古文を解読しながらつぶやく。


 魔物はその巨大な口を開け、轟音のような咆哮を放つ。その声は、遺跡の壁に反響し、空気を震わせた。


「こんな力、この世界にはない...お前は何者だ?」


 魔物は低く、響く声で問う。


 悠斗は剣を高く掲げ、冷静に答える。


「僕は悠斗。この世界に平和をもたらすため、戦う。」


 魔物は怒りに満ちた目で悠斗を見据え、腕を振り上げる。その一撃は、岩をも砕く力があった。しかし、悠斗は素早く身をかわし、魔物の攻撃を避ける。


 彼は両手を前に伸ばし、深く集中する。彼の手のひらには、プログラミングの論理と魔法のエネルギーが交わり、新しい形の光が生まれ始める。光はまるで生きているかのように躍動し、複雑なパターンを描きながら空中に浮かぶ。


「光よ、我が意志に従え!」


 悠斗の指示により、光は魔物に向かって飛んでいく。しかし、今回は光が魔物を貫くのではなく、魔物の周りを取り囲み、輝く網のようになる。

「何だ、この技は...!?」魔物は驚愕する。


 魔物はその場で動けなくなり、怒りと混乱でさらに咆哮する。


 悠斗は静かに前に進み出る。


 「これは、束縛の光。お前の力を封じるためのものだ。」


 しばらくして、魔物の咆哮は徐々に弱まり、その巨体は力を失い、ゆっくりと崩れ落ちた。悠斗は深呼吸をし、周囲を見渡す。そして、戦闘が終わったことを確認すると彼は村へと帰っていった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る