第8話 ベランダの少女
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「臭いんだよーー、てめーーは!!あっち行け、ボケが。飯がまずくなるんだよ、てめえみたいなガキがいるとさ。さっさと、ベランダ行け。行けって言ってるだろ!!」
バシッ
「あうっ」
バシッ
「あ・・ああっ」
やめて、お父さん。
ごめんなさい。
ごめんなさい。
臭くてごめんなさい。
バシッ
バシッ
シャァーーー
「あっ、てめぇなにオシッコ漏らしてるんだ!!アホか、床が汚れただろ。死ね、てめーなんかさっさと死んでまえ。俺は、お前みたいなアホを養う為に働いてるんと違うぞ。こんなガキ食わせる為に、毎日頭下げて働いてる訳じゃねーからな。死ね、ガキが死ね!!」
ごめんなさい。
許して。
「べら・・んだ、行くから・・許して」
もう、お腹空いたなんて言わない。
わがまま言わない。
「ほら、早くベランダに行きなさい。お父さん、怒らせてもっと叩かれたいの?」
「お母さ・・ん、あたし・・」
「さっさと、ベランダに行きなさい!!」
お父さん。
お母さん。
ごめんなさい。怒らないで。もう怒らないで。
お漏らししてごめんなさい。
ドンッ
「ひっ」
ガラガラガラ
ガシャン
ベランダがいい。
あたしはベランダが好き。
だから、大丈夫。あたし、ベランダ好き。だって、ベランダに出たらあの人が見えるから。
「あっ・・ああ」
王子様だ!!
黒いナイフの王子様が、ベランダにいる。
ああ、あたし・・・・すごくラッキー。すごく、幸せ。
目が霞むから、良く見えないよ。何時からこんなに目が霞むようになったのかな?
あたし・・・・体、最近変だから。
力も入らないし、上手く歩けないし。
オシッコは漏らすし。
お父さんやお母さんに嫌われるのも当然。
あたし、最悪。
でも、王子様を黙って見るだけなら許してくれるよね。
もう何も、望まないから。
何も、欲しがらないから。
どうしたんだろう?
今日の王子様、なんだか何時もと違うみたい。
泣いてるの?
笑っているの?
何か、嬉しいことあった?
何か、悲しいことあった?
あたしだけの黒いナイフの王子様・・・・・
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