魔女っ娘パピの世直し旅

霞千人(かすみ せんと)

第1話 魔女っ娘パピは看板娘

 人属と魔族とモンスターの跋扈する森への道が交わる【魔のトライアングル】と呼ばれている交通の要所。そこに【花鳥亭】という名前の宿屋が存在しています。


冒険者、魔族国に行くエルフや獣人、人間の国に行く旅人達で

賑わっていました。この宿を逃すとモンスターの出没する道路沿いのキャンプ地で野宿しないといけません。

 なので、力無き者は夜になる前に宿に入り翌朝早く旅立たなくてはいけないのです。若しくは大金を投じて高位の冒険者を護衛に雇うのです。


 今日も夕暮れ時に【花鳥亭】を目指す商人の馬車が街道を走っていました。後ろからオークの群れが追いかけています。馬車の荷台の後方から護衛の魔法師がフアイア―ボールで攻撃しますが全然効いていません。どうやら魔力切れになり掛けているみたいです。

 と、車輪が道から浮き出していた岩に乗り上げて横転してしまいました。その衝撃で馬も倒れてしまいました。荷台に乗っていた剣士と槍使いが出てオークに立ち向かいます。

 接近戦に備えて英気を養っていた強者達は次々にオークを倒していきます。」ですが、オークの数が多すぎます。5匹倒してもなお7匹残っていますそしてその後方から途轍もないオーラを放つ化け物オークが近寄ってきます。


 「おい、あれは?」

「オークキングだ!!俺達が敵う相手じゃない!」


 冒険者達が諦めかけたその時」

「お兄さん達、手伝いましょうか?」

空から女の子の声が聞こえました。

見ると翼の有る馬に乗った魔法師の格好をした少女が浮かんでいました。

 「あれはペガサス?頼む手伝ってくれ」

「判った。ちょっと雷落すから剣を離しておいてね。でないとしびれちゃうよ!」

慌てて剣を手放します。

 次の瞬間ドガー――ンバチバチバチとオークの群れに稲妻が落ちました。オークキングを残して子分のオークはバタバタバタと倒れていきました。

「す、凄い威力の雷魔法!」

「だがキングは倒れていない」


 オークキングが大剣で冒険者達に斬りかかるその刹那、少女がペガサスからクルクル宙返りしてひねりを加えてオークキングの肩に降り立ち、オークの頭に回し蹴りしました。

グギッと嫌な音がしてオークの首が折れました。


「弱い者虐めする奴はあたいがお仕置きよ」

そう言った少女は馬車を魔法で修理し馬の傷を治し護衛の冒険者達を治癒して魔力を譲渡してあげました。

「有難うおかげで助かったわ。あなたの名前は?」

「あたいはパピル-ス。パピって呼んでね。【花鳥亭】っていう宿屋の一人娘よ。皆さん今日の宿は決まってますか?」

「ちょうどその宿に向かっていたところですよ」

商人のケルトさんが言いました。時々利用してくれる顔なじみの商人さんです。

「それはどうも、いつもありがとうございます。ところでこのオークの始末はどうしましょうか?」

「馬車には乗りきらないし,おいて行くしかないかな」

「じゃああたいのマジックバッグに入れて持っていきましょう」

オークキングとオーク7匹はパピちゃんの獲物でしょ。5匹は俺達が倒したから貰うとして持って行けるのは魔石くらいかなあ」

それだったらあたいの宿でも素材の買い取りしてるから丸ごと売ったら」

「それは助かる。ぜひそうしておくれ」

「うん。商談成立ね」

パピはオーク12匹とオークキングをマジックバッグに収納して(実際はスキルの亜空間収納に入れています)。空で待機しているペガサスを呼び寄せました。

ペガサスは仔馬なのか体高が120㎝位しか有りません。身長140㎝体重35㎏のパピには丁度良い大きさです。

パピも【花鳥亭】までペガサスに乗って陸上移動します。


「お母さーん、お客さんお連れしたよ」

「おやおや、これはこれはケルト様いらっしゃいませ。いつもご利用ありがとうございます」

母親で女将おかみのパフインミルトが満面の笑みで挨拶しました。


★★★★★★★★★★★★★


新作です。宜しくお願いします。

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