答えられない事は分かっていて聞く、
今日はきよみさんの、医大での診察日だ。
「血液検査の数値はとても良いのでこのままの投薬スケジュールで行きましょう。」と主治医がニコニコしながら言う。
私が聞く、
「スキルス癌の腹膜播種は、とても余後が厳しくて、余談を許さないと言うことは解っていて、敢えて聞くんですが・・
当面のきよみさんの様体の急変は無いと言えますか?」
答えられないという事を分っていて聞くのだから、私もどうしようもない。
「う〜ん・・当面というのがどの辺までか・・う〜ん、そうですねえ。今の抗癌剤がいつまで効くのか・・次の抗癌剤がどうなのか・・個人差がありますからね。
まあ、今は良い状態としか言いようがないんですよね。ただ腹膜播種というのは、おっしゃる通りとても厳しい状態です。今言えますのは、やりたいことは体調の良い今やって下さい、と言うことですね。う〜ん、そういう事ですね~。」
まあ、聞くまでもないことだったのだが、つい聞いてしまった。
今が良い状態なら、その事に感謝して今を楽しめということなのだ。解らない先の事を考えて心配しても、何の足しにもならない事は分かっているのだが・・
不安を残して今を楽しむ・・
これが案外と難しい・・
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