一日目
王に欲しいものを聞かれて紙とペンを要求する人間もなかなかいるまい。とはいえ、現世からのルーティーンなのだから、そう簡単にやめる訳にはいかない。思えば日記を書き始めたのは、姉さんに忘れっぽいことを指摘されてからだった。自分のことを棚にあげて偉そうに言いやがってと思っていたが、こうして別れてもその感情は変わらない。我ながら薄情なものである。
私は異世界に転移した。目が覚めた時には、夜の砂浜に横たわっていた。ぼんやりと星座を眺めていたが、明らかに私の知っている配置と違うことから、薄々察しつつあったが、この世のものとは思えない異形に連れ去られた瞬間に、俗に言う異世界転生であると確信した。
とはいえ、ラノベなんてほんの数冊しか読んだ覚えはないし、そもそもチートや無双なんぞに憧れはない。来れたなら帰れるというのが、この世の道理であるはずだ、さっさと帰宅手段を見つけて帰ろうとしたのだが、どうにもそうはいかないらしい。
異形に拉致された後に目が覚めると、もふもふの魔王の前にいた。そして、王の発言から、私が特殊な能力を授けられたことを知った。
魔法、と聞いてポカンとしている私に、「嬉しいか?」と訊ねてきた。分からない、と答えた覚えがある。急にそんなこと言われても、現代科学文明の信奉者にとっては困るのだ。
とりあえず今日は行くあてもないのでとある宿に泊まっている。そもそも拾われたのも夜なので、今これを書いてるのもかなり遅い時間だ。今思うと若干王が不機嫌そうだった理由はこれだろう。ご苦労なことである。
私も眠い、今日は色々と物事が多すぎた。特に転生直前の
いや、これは書きたくないな。
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