終章 最終決戦
第1話 大規模捜索
翌日、宗次の部屋に1人の僧侶がやって来た。
僧侶は宗次に目隠しと拘束をお願いすると、素早く行動にうつし、宗次を担ぎ上げた。だが、前回のように左腕に呪符を貼られることはなかった。
しばらくして目隠しがとられる。
目を開けると、また丸いテーブルに緋色の袈裟を着た6人の僧侶達と対面した。
6人の僧侶のうちの1人が言う。
「よくぞ、
「……最後の仏像はどこにある?」
「それが……分からないのだよ。この記録には最後の阿弥陀如来の居場所だけは記されていない」
「書いてなかったのだろう」
宗次の意志に反して荒哉が宗次の声を借りて勝手に続ける。
「おそらく、行曹は仏像、覚醒者によって同時多発的に厄災をもたらそうと計画し、実行している。そこで行曹になって考えてみろ、あいつは人類を極楽浄土に送りたい、そうだとすれば、今この周辺で一番人が集まっているのはどこだ?」
宗次の顔から血の気が引く。
日本で今、人口が多い都市は一つだけだ。
「京都……」
東京、名古屋、大阪、福岡……大都市が次々と覚醒者によって滅ぼされた中、一つだけ大都市にもかかわらず厄災を免れた都市があった。
京都だ。
現在、京都には人口と主要機関が集まっている。今や、日本の要である。
もし、京都に仏像、覚醒者が現れて圧倒的な力を振るえば、あっという間にたくさんの人が死ぬ。
「もし、京都に行曹の仏像があるとしたら……一体どこに?」
宗次のつぶやきに対し、僧侶の1人が言う。
「京都の寺院の仏像は廃仏毀釈で全て破壊された。今や、街中に仏像はない」
「そうだとすれば、考えられるのは誰も足を踏み入れないどこか……」
そして、滋賀県から歩いていくことができ、かつ京都の中で現在人口の多い場所。
京都を知り尽くしている宗次の頭の中に一つだけある場所が浮かんだ。
「
皆子山。京都府京都市左京区と滋賀県大津市との境に位置する標高971mの京都市の中で高い山である。
「ヘリを持たない行曹が滋賀県から歩いて移動するとすれば、皆子山まで少なくとも18時間以上はかかる。その間に最後の仏像、
仏像、覚醒者は全て破壊されたことになり、残りは行曹だけとなる。
「探そう。これ以上、仏像に殺生を行わせるわけにはいかぬ」
「自衛隊を派遣しよう。今のことを話せばきっと動くはず」
こうして、皆子山で仏像、覚醒者の大規模捜索が行われることになった。
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