まずはすてぇたす確認とやらからよ

………………………


………………………


…………「はっ!」


意識を失っていた義輝は暗い洞窟の中で目を覚ました。


「ここは何処だ…?」


義輝が辺りを見渡していると


(上様。私の方をご覧ください。)


頭の中に突然声がした。


「声がするのに姿が見えないだと…。何者だ貴様!」


義輝が謎の声の持ち主に問いかけると


(私は今あなたの隣にある刀です。神様より上様と意思疎通できるようになっています。)


と謎の声の持ち主———無銘の刀———はそう答えた。


「神により意思疎通ができる刀…?嘘をつくな!そのようなものあるわけがない」


義輝は案の定疑ったが無銘の刀はそれを見知ったかのようにこう答える。


(では真だと信じられるような証拠をお見せします…。今から私は自分の力だけで鞘から出て見せます。見ててください)


無銘の刀がそう言ったあと義輝の隣にあった刀が————鞘から勝手に出てきた。


「なにっ⁉︎本当なのか⁉︎」


義輝は驚いた。転移するということも驚くことなのに、更には刀が喋るときた。

最早例え天地を動かすことが出来るという者が来ても驚かないだろう。


(本当なのか分かられたようなので、ここが何処なのか、あなたが何をするべきか、お伝えします。)


どうやら刀は義輝を助けてくれるようだ。

義輝は言う。


「と、とりあえず感謝する。して、ここは何処か?」


義輝の問いに刀は


(ここは上様がいた時代からおよそ五百年ほどあとの世界。そしてその世界に現れた魔物———上様の認識でいう物怪———が住む人類にとって驚異的な場所であるダンジョンという場所です。そして貴方はこのダンジョンを制覇しそして——————幕府を再興してもらいます。)


様々な未知の情報に義輝は混乱する。


「だんじょん?まもの?何だそれは?そして何故ここで幕府再興なのだ?」


義輝の質問に


(まあ、落ち着いてください。上様。細かい理由はまた後ほどお伝えします。どちらにせよ、ここに来てしまった以上元の場所に帰られませぬ。なので生き残るためにも己の力を確認しなければなりません。ステータス確認を行いましょう。ステータス確認と言えば勝手に出てきます。)


と刀は答えた。


「質問に答えて欲しいのだが…。まあそれは一旦置いといてすてぇたす確認だな。分かった。」


  『す て え た す 確 認』


そう言った瞬間、儂のステータスが表示される。


ステータス表

————————————————————

名前:足利義輝

性別:男

種族:人間

属性:【将軍】【剣豪】

レベル:1/♾️

MP:100

特性:雲の上まで

レベル上限が無くなる。

技:【刀召喚】【???】【御内書】【一之太刀】【????】

————————————————————


「これがすごいのかすごくないのか分からないのだが……」


刀「まだレベル1とは言え技も十分ありますし、何より特性によってレベル上限がないのはいいですね。」


刀「無限に力を上げることができると言うことですし。」


「ふむ……それはなかなか魅力的だな。どれ。技がどのようなものか確認しておくか。」


義輝が技を発動しようとすると


刀「お待ちください。上様」


刀が止めてきた。


「何故だ?」と義輝が問うと


刀「幕府再興を成すためにはまず、今いるダンジョンの制覇をしなければなりませぬが、それを達成するにはダンジョンの主を倒さなくてはなりませぬ。」


刀「ちょうど今いるところは5階あるダンジョンの3階です。3階、4階の門番魔物と5階にいる主を倒せばダンジョン制覇ということになります。技を試すのは門番魔物に遭遇してきた時で良いかと。」


刀の提案に義輝は納得する。


「なるほど…。では門番とやらを倒しに行くとするか。」


義輝の言葉に刀は賛成しつつ、新たに提案をする。


刀「今の上様のレベルだと門番魔物に負けてしまう可能性がありますが門番魔物に会う前に何体か魔物と遭遇すると思うので、そいつらを倒してレベルを上げればよいと思われます。」


「分かった。そうしよう。」


義輝もその提案を聞き入れる。


「では、行くか。」


刀「はい。」


義輝は刀を持ち門番魔物がいるらしい方向へ向かう。


幕府再興を必ず成すと心に決めて—————

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る