1916年5月31日

 俺はまだ巡洋戦艦『インヴィンシブル』艦上にいる。

『フォークランド沖海戦』後、『インヴィンシブル』は本国『大艦隊Grand Fleet』に編入された。


 現在、敵独逸帝国海軍の『大洋艦隊Hochseeflotte 』が出撃した事を無線傍受・解析で把握した。

 我が『大艦隊Grand Fleet』は敵艦隊の予想進路のユトランド半島沖へ向かっている。


 俺は『インヴィンシブル』マスト上の見張り場で双眼鏡で覗いている。

 水平線の上から黒い煙が幾筋も昇っている。

 針山の様に敵艦のマストの先が林立している。

 俺は興奮状態になった。

 これは、かなりの大艦隊だ!


 

「さぁ! 無敵艦『インヴィンシブル』のお出ましだ!」











『HMS インヴィンシブル』は距離八千六百メートルで敵戦艦の砲弾が当たり、船体が真っ二つに折れて轟沈した。

 速力を出す為に軽量化した薄い装甲防御が災いしたのだ。

 フッド提督以下乗組員1032名のうち、生存者はわずか6名であった。

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